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【偶然の祝福】 小川洋子

偶然の祝福 (角川文庫)偶然の祝福 (角川文庫)
(2004/01)
小川 洋子

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連れ合いからの熱烈な推薦と、敬愛する川上弘美さんによる書評によって興味を持ち、
初めて体験した小川洋子さんの作品世界は、とても独特な世界観を持っていた。

作品の語り手である小説家が、作家になる前、なった後関係なく『物を書くということに対する思い、
それにまつわるエピソード』を記していく時系列はバラバラの連作短編集だ。

だが個々の作品が持っている言葉の力、読み手の内側に食い込んで残るパワーを目の当たりにするに付け、
純文学の持つ人間考察の深さや凄味を感じた。例えば【失踪者たちの王国】で綴られた文章

『さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、
失踪者たちが住むという王国。誰でもたやすく足を踏み入れられるという訳ではないらしい王国』からは、

人間の生きている、この不条理な世界にも、ある種の法則の様な物があるんだよと教えられた気がした。
しかもかなり優しい気持ちが伝わって来た。こんな読後感は初めてだったので

『なるほど小川さんの持つ魅力は人間の芯の部分を、なるたけ肯定的に書くという所にあるのか!』と
強く合点したのであった。他の作品でも至る所に抜き書きしたいと思わせる箇所があった。そんな中から、

2作品分取り上げてみたいと思う。まだ作家でなかった頃に、余りに酷いやり方で弟を奪われ、
心身両面から壊れてしまった私の姿が描かれている【盗作】

『ああ、これが留めの一撃だ―ーー病院で意識を回復した時、私は思った。
弟との別れを悲しむあまり、言葉を見つけられない苦悩のあまり、とうとう自分も死んでしまったんだ。』

如何なる時も、言葉を探し、書き記しておかなくては自分で自分を許す事が出来ない作家という
種族の業の深さを垣間見た気がした。次に巻末に収められている【蘇生】を取り上げようと思う。

ある種の病気が、息子と私、立て続けに起きたショックで声も言葉も丸ごと失ってしまった私。
そんな時、自分の名を、ロシア革命の為に殺された皇女【アナスタシア】だと言い張る老婆と出逢う。

彼女が語る、もう一つのロシア革命の裏側。奇跡的な脱出を経て再び新たな生を授かったアナスタシアは
私に向かってこう呟いた。『アナスタシアとはどんな意味か、ご存じ?』

『蘇生よ。蘇ること。私にこれ以上ふさわしい名前があるかしら』この会話をきっかけに
私も再び身体の奥深く隠された言葉の涌き出る泉に手を浸し、言葉の結晶をすくい上げる力を取り返そうとする。

人間にとっての声や言葉を空中から掴み取るのは、まさに【偶然の祝福】を浴びているのだな、と強く感じた。
物静かな余韻の残る読了感を、是非貴方にも。

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