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【妻の超然】 絲山秋子

妻の超然妻の超然
(2010/09)
絲山 秋子

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超然という響きに惹かれて手に取った一冊。これまでにも、何処かしら世間から遊離し【超然】と
生きている様な人々を中心に書いてきた絲山さんが、とうとうタイトルに【超然】と着けている。

この事実がたまらなくシックリ来た。収録されているのは三作品。【妻の超然】【下戸の超然】【作家の超然】だ。収録順に粗筋と感想を述べようと思う。

まずは【妻の超然】小田原に住む四十八歳、子無しの主婦理津子は、
五歳年下の亭主・文麿との結婚生活も十年を過ぎ、今では家庭内別居をしていて、

夫の浮気なぞ【超然】と構えてられると思っていたのだが…。理津子が根本的にお人好しなのが憎めない所だ。
印象的だったのが、彼女は小田原のマスコット的な象の花子さんに事あるごとに会いに行き、

象が人間に成り変わり、地上の盟主となっていたならば、どんなにか深遠で哲学的な世界が
展開していたであろうか、と夢想するシーンだ。あまりに現実的な生活を暮らす理津子が、

心の平穏を象に求め、全然【超然】としていないのが可愛らしいなと思った。次に【下戸の超然】だが、
北九州の出身なのにも関わらず下戸の広生が、彼女及び周囲の人達との摩擦を経て【超然】とした存在だと

誤認されていく様が、見事な描写で書かれてあるのに読み応えがあった。
例えば彼女が夢中になってやっているボランティアを広生にも強制する場面の表現力の巧さに舌を巻いた!

引用してみたいと思う。『僕はその、他人へのむきだしの善意と、社会へのむきだしの悪意の前で不安になる。

善意には際限がないようでおそろしい。悪意というものは怒りと同じでモチベーションを保ち続けるのが
おそろしく難しい。ところが善意というものは、ときには人を傷つけながら、人の自由を侵害しながら、

イナゴの大群のようにすすんで行く。』如何だろうか?社会に存在する居心地の悪さの正体を暴く、
絲山さんならではの視点が隅々まで行き渡った名文でないかと思う。最後に位置するのが『おまえ』と

二人称の文体が作品全体に緊張感を与えることに成功している【作家の超然】頸に出来た腫瘍の摘出手術、
その前後の日々を描きながら、果ては、遠くない未来『文学は滅亡するであろう』と予言する。

この短編集には大いに考えさせられた。自分にとっての読書の意味も含め、
二度、三度と読み返したくなる本の一冊となっていくと思う。【超然】は深い意味のある言葉。

あなたも是非体感してあなたなりの答えを探してみて下さい。

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テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

現代の超然は難しいです。

『他人へのむきだしの善意と社会へのむきだしの憎悪』という表現に舌を巻きました。実にリアルですね。善意は反省することが不可能な厄介な存在だ、と自戒を込めて思います。

話がズレますが、詩人の日夏耿之介は旧かな遣いしか日本語と認めず、新かなの葉書や手紙がくると、窓から川に投げ捨てて「新かなが流れていく」と笑っていたそうです。私もそれくらい超然としていたいですが、情報社会の現代ではなかなかそういった態度をとることができません。

と云っても、超然というより気難し屋の詩人なのかもしれませんけれど。
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