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【村田エフェンディ滞土録】 梨木香歩

村田エフェンディ滞土録村田エフェンディ滞土録
(2004/04/27)
梨木 香歩

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非常に感動した!読後暫く、余韻で胸が一杯になった。良質な映画のように穏やかに物語は幕を開ける。
冒頭の一文目から、ピタリと決まった文章に、たちまち作品世界の虜、住人になった感じすら覚えた。

舞台になっているのは一八九九年(明治三十二年)のトルコ(土耳古)の大都市スタンブール。
主人公の名は村田。トルコに良くある名前であるムラートと類似した響きの名前が縁で

トルコ王室より招聘されたエフェンディ、日本語で言うところの先生である。
彼の下宿先は、英国人のディクソン婦人が営んでおり、同宿の学者に、ドイツ(独逸)人の考古学者オットー。

ギリシャ(希臘)人、発掘物調査員ディミトリス。それに忘れちゃならない隠し味的役割を果たすのが
トルコ人召し使いのムハンマド。更に、ムハンマドが拾って来て、物語の随所で的確な言葉を発し、

実は絶妙なる伏線を張っている鸚鵡まで。と、賑々しく村田のトルコ滞在の日々は過ぎゆくのである。
明治維新から西洋列強の力に脅かされて来た、帝国日本の若者が、人類と歴史の交差点であると呼んでも

過言ではないトルコに住み暮らした事が、小説の枠を超え、まるで実在した青年の手記の様に、
ありありと綴られていくのに圧倒的なリアリティーを覚えずにはいられなかった。

語られるエピソードも前半は学術的で、村田がオットーの発掘現場に連れられて行って、
大興奮する発見をしたり。下宿の住人達がそれぞれに異なる神を信奉しているにも関わらず、

お互いの宗教を尊重し、古代において神とは如何なる役割を果たしていたのかを語り合ったりしている。
所が、後半部分に差し掛かると、世界情勢が、歴史が、

エフェンディたちの運命を否応なしに変化させていくのである。
特に印象的だった言葉がディミトリスの発した『私は人間だ。

およそ人間に関わることで私に無縁な事は一つもない……』上手くは言えないが、
このディミトリスの発言こそが本作品の質に遥かに高い要素を与えているようで、

後半は度々考えさせられながら読み進んだ。十四章から十八章の怒濤の展開があったからこそ、
最後の最期のシーンが強く胸を打つのだと思う。

余談だが、この本は著者・梨木さんの『家守奇譚』と前後をなす作品になっている。
是非とも『家守奇譚』をも味わって、人間の尊厳を訴えた名作群に浸って欲しい。

心の底から震えが起きた素晴らしい小説です。推薦致します!!

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テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

価値観のぶつかり合いが面白い

これは無料配布誌で飛び飛びに読んでいました。様々な国から来た人々の反発と共感に希望を感じています。
改めて単行本を読んでみたい気持ちになりました。

人類共生の可能性が描かれた本です

人種や宗教の違いを超えて一つ屋根の下、家族同然に暮らしていく美しさに胸を撃たれた本です。是非機会があれば手に取られてみて下さいませ。
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