スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【東京飄然】 町田康

東京飄然 (中公文庫)東京飄然 (中公文庫)
(2009/11/24)
町田 康

商品詳細を見る


タイトルの【東京飄然】と第一行目の『旅に出たくなった。』って言葉から
もう、堪らなく可笑しな世界が展開されるであろう予感が押し寄せて来る。

直接、誰に言われた訳でもないのに、歌手の友部正人の歌の文句にある
『どうして旅に出なかったんだ?坊や』なる部分を、町田氏の耳は

『どうして旅に出なかったんだ?おっさん』と翻訳して煩悶する。
『出なかった?なにをいう。過去形で語るな。俺はまだ旅に出ないと決めたわけではない。

これからだって出ることができる。』おぉ!威勢が良いぞ!!と次を読む、
と先ほどまでの威勢は何処へやら…『ただ問題があるとすれば、旅に出ている間、

仕事はできないわけで、そうすると収入というものがなくなる。
そうすると家賃や水道代が払えなくなってしまうという点である。』

既に思考が分裂気味になっている。徹底的に現実主義的な面を持った夢想家が町田康なのだと思うのだが、
氏が真剣に悩めば悩む程。現実は頓珍漢な方向に動き出す。すこぶる奇妙で笑ってしまう。

最終的に町田氏は、仕事のない午後いっぱい、旅をしてまあ夕方、遅くとも夜には家に帰ってくる。
『つまり激烈に短い旅という寸法である。』方式での旅に出ることを選択する。

(年若の友人からは、“それってでも旅じゃなくて散歩っていうんじゃないですか"、
そう揶揄されつつだが。)出発してからも、ひょ。というところがいかにも飄然旅行でいい。

『ひょ。これが僕の人生の主題だ。』とまで宣う。町田さんでなければ感じ得ないであろう、
旅の風情。だが、しかし足の向くまま、飄然と行き先を決めると

『どこが飄然だ。ぜんぜんだめじゃないか!』臍を曲げるより他ない地へと降り立ったりもするのだ。
笑っちゃいけないが、飄然と旅をゆく、町田氏の思考、言動のパターンがたまらなく可笑しいのだ。

例えば公園の石に刀で斬りつけたような筋があったら、
その石にまつわる仇討ちのエピソードを実に適当に拵えたりしちゃうし。

そうかと思えば、私ひとりで旅に出たのがよろしくなかったのかなと思い、
旅は道連れ世は情けと、前述の年下の友人慶西君を飄然旅行の友として選出するし。

(適当に入った蕎麦屋の般若面のエピソード。思い切り『んなことあるかい!』と突っ込んでくださいね。)
この二人旅は、内田百鬼圓先生と、弟子のヒマラヤ山系氏の阿房列車シリーズを彷彿とさせる旅です。

二人の旅の最後、慶西君が行方を消す辺りにも飄然を感じられて良いです。飄然の旅は続く。
しかも串カツに満足にありつく為への旅だったりする。日曜日の新橋へ。

休日と言うことで、大体の店のシャッターは下りている。そんな中に、
町田氏は『立喰そば ポンヌッフ』なる店名を見つけてしまい、更に悶々としたりするのだ。

結局、新橋にはお目当ての串カツ店は見つからず、銀ぶらの最中ようやく一件の店に辿り着く。
ここでも炸裂する必殺脳内妄想、町田節。腹を抱え笑い続けてしまった。

妄想や執着に踊らされる自らを恥じ、高踏な精神こそを求めて芸術に答えを見出だそうと
上野の街に繰り出して行く町田氏。だが、ここでも飄然者の精神が絵画芸術に潜む欺瞞を暴き出し、

二度、三度、真の飄然者について思いを巡らす事になるのだ。結局、帰宅してから、
遂にとでも言うべきか町田氏に一番馴染みの深い芸術、音楽、それも、ロック音楽に回帰するのである。

さぁ果して東京飄然の旅は高円寺の街でどのように帰結していくのだろうか?
町田康氏にしか描けない風景や想念が独特の日本語のリズムの中に踊ります。貴方も飄然と旅に出ませんか?

◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ読んで気に入って下さったら応援宜しくお願い致します!励みにして書き続けます。

【SNS 本カフェについて】親愛なる皆様へ
「本カフェ」は、本好きさんが集まるSNS読了本、お譲りします!もOPEN!!!
↑ご希望の方は『新規登録』をクリックし会員登録を行なって下さい。

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

Secret

SNS「本カフェ」参加中!

ランキングに参加しています!

にほんブログ村 小説ブログ エッセイスト志望へ

プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

皆様、お友達になって下さいね。お声かけてくれたら嬉しいです。
初めてこのブログを読まれる方は、こちらから読まれてくださいね。

【ラブ&シェアについて】親愛なる皆様へ

【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

◎このブログ・私たちは著作権を放棄しておりません◎

イラスト等を使用されたい場合はメールにてご連絡下さいませ♪

love_heartgraffiti★yahoo.co.jp ★を@に変えてご連絡下さい。

※あきらかに当ブログと関係のないと思われるコメント・TBや『これはひどいなぁ』と行き過ぎを感じさせるコメント・TBは削除させて頂く場合があります。ご了承下さいませ。

メールお待ちしています☆

名前:
メール:
件名:
本文:

HEARTGRAFFITIのすべて

ご訪問ありがとう!

☆検索☆

ジーナフウガの一冊入魂レビュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。