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【人間失格】 太宰治 ~必死に生きようとした人間の結末は喜劇なのだろうか?~

人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
(1952/10)
太宰 治

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遂に読んでしまった…。読者にそんな感情を沸かせる作品は古今東西を見渡しても、
それほど多くは存在しないのでは無いだろうか?更に思うに、世の中は【人間失格】が必要な人、

不必要な人とで、二分されるとも考えられるのでは、と言っても、決して過言でない様に考えられる。
はしがきからして徹底されている、観念的な他者否定の思い。三葉の写真に写った、

幼年期、青年期、中年期、それぞれの人相に対しての考察は全て葉蔵の内面から
滲み出た表情に異議を申し立てている。この不思議な小説の始まり方は一体、

読者に何を伝えようとしての物であるのだろうか?加えて、葉蔵の手記に出てくる重要な要素として、
「お道化」という概念が存在する。視得ない筈の世界に隠れているあれこれが、

易々と見えてしまう人間の必死の自己防御手段としての「道化」。
しかし、これも、見る人から見れば、軽々見破られてしまう。葉蔵本人もその事実は百も承知で、

一群の画家たちは、「人間という化け物」に傷めつけられ、おびやかされた揚句の果、
それを道化などでごまかさず見えたままの表現に努力し「お化けの絵」をかいてしまったのを知っているし、

将来の自分の仲間を、画家達の中に見出だしている。本当ならば道化など、
これっぽっちもしたくはなかったのであろうと思います。

しかし、弱虫な葉蔵は幸福にさえ傷つけられる事もある男なので、傷つけられないうちに、
早くお道化の煙幕を張って、「金の切れ目が縁の切れ目というのは、男に金がなくなると、

男は意気消沈してダメになり、破れかぶれになり男の方から女を振る」と、
出鱈目な放言を 繰り出す始末。けれどカフェの女ツネ子の方は、

人間としての営みに疲れ切っていたので、葉蔵に対して本気で「死」という言葉を口にする。
そんな切迫した状態にあっても、未だ何処かに「遊び」を潜ませ、

「死のう」という、実感も覚悟も持ち得てはいない葉蔵。けれど心中を図った入水自殺の末、
女だけが死亡し、まんまと葉蔵は生き残ってしまうのです。

それまでの葉蔵は世間知らずな、お金持ちのボンボンだったのに、事件後は実家からも、
見放され、辛うじて、兄たちの送ってくれる送金以外は、故郷とのつながりを全然、

断ち切られてしまいます。揚句、父親の太鼓持ちの様なことをしている男の家に居候しますが、
我慢しきれずに逃げ出してしまう有り様。そこから彼の世渡りの才能による放浪流転の日々が始まる訳ですが、

同時に世間と言う名の厄介な妖怪を相手に無限かつ無用の闘いを強いられる事をも意味していた訳です。
葉蔵は結局、悪友堀木にもただ、死にぞこないの、阿呆のばけものの、

謂わば「生ける屍」としか解してもらえず、彼の快楽のために、利用できるところだけは利用する、
それっきりの「交友」しか結んで貰えないのにも関わらず、付き合いを切る勇気は最後まで持てず仕舞いです。

それは葉蔵自身が、自分は昔から、人間の資格の無いみたいな子供だったのだと、
と思うより他に逃げ道のない生き方を選んで来たからなのでしょう。

そんな葉蔵にもっと残酷な出来事が起こります。なんと内縁の妻ヨシ子が出入りの編集者に、
ちょっと目を離した隙に、強姦されてしまうのです。自責の念にかられ、睡眠薬での自殺を図りますが、

またしても、生き延びてしまう葉蔵。罪悪感は膨らみ続け、罪悪のかたまりのようになるのですが、
自分を防ぎ止める手段を、何一つ持ち合わせちゃいないのです。

アルコール中毒から薬物依存症まで堕ちていき狂人、いや廃人という刻印を額に打たれるまでに、
堕ち切ってしまったのです。まさに、これで葉蔵は立派な「人間失格」と呼ぶに相応しい所に、

たどり着いたのです。最後に葉蔵が「廃人」は喜劇名詞のようであり、ただ、一さいは過ぎて行きます。
と呟いたのが妙に印象に残りました。あなたにとって葉蔵がどのように映るかは、

是非とも読んで確認されて欲しいです。

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ジャンル : 小説・文学

コメント

いよいよ太宰作品が、

登場ですね!

自虐的に奈落に落ちていく、葉蔵の姿、
もう一度、読んでみたくなりました。
どうしようもない自己否定と弱さの中にある真実、
文学だけが、炙り出して見せてくれるという実感を、
一番はじめに抱いた作品でした。

コメントありがとうございます。

人間失格を読んで真っ先に思い浮かんだのが、詩人中原中也との酒場での問答の末の乱闘でした。

どちらも己が生き方を貫き通した為に死を早めた人たちですから。
中也は太宰に道化からもう一歩踏み出して、こちらに堕ちて来いと誘ったのではないかなどと考えてしまいます。
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