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【白の鳥と黒の鳥】 いしいしんじ ~短距離走者の瞬発力の爆発と解放~

白の鳥と黒の鳥 (角川文庫)白の鳥と黒の鳥 (角川文庫)
(2008/11/22)
いしい しんじ

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あ、やっぱり!この人の書く物語はパンクだ…。実に物凄まじい!!改めてそう感じたのだった。
思い返して見るに、「いしいしんじ」という人は、

故中島らも氏とのマリファナぷかぷか体験記を上梓したり、
町田康氏と人生を歩いた本を出版したり。伊達や酔狂ではいかない、

規格外の相手を向こうに回してもビクともしないどころか、時には平然と白を切り通していた。
なので、「この人の奥底に流れている怒涛の世界が、静から動へと大爆発をした物語が出たなら、

間違いなくそれは傑作になるに違いない!」 と確信していた。
その待ち続けていた大爆発のエネルギーに溢れた大傑作が本書である。

一篇につき10ページ前後の短編よりも短い鮮烈な掌編小説を19編
ギュギュッと絞ったこの作品集の爆発力は、例えるなら100mスプリントの瞬間的な

野性味の充満したスタートダッシュにも似た雄々しい
エネルギーの解放と言っても過言ではないでしょう!もう一篇、一篇、

紡がれた物語に敬意の念と愛着を覚えずには居られません!!
それでは、早速肝心要の物語の内容について触れて行こうと思います。

人が動物の肉を食べることにより生命を生き長らえさせていることについて、
厳粛で神聖なる描写が光る【肉屋おうむ】。合言葉は一声「ラー!」ゴルフ場にて運命的な出会いを果たし、

恋に落ちたはつかねずみと私の切ない恋の物語「この星でこの場所からいちばん遠いところから来た」
はつかねずみの可憐さに落涙したのです。【しろねずみ】おばあちゃんが亡くなって以来、

時々おじいちゃんおばあちゃんに変身するおじいちゃんから「せみ子」と言う、
かなりシュールな名前で呼ばれている女の子が「いい雨」の日に街を散策する様子を描いた

【せみ子の黄色い傘】いしいさんの創り出す子供の眼光の鋭さは、
何か奈良美智さんの描く子供たちと似ていて仄白く発光している。舞台に文字通り、

全身全霊で臨んだ双子姉妹カラタチとブルーベルの姿を追った、
【カラタチとブルーベル】。ラストの思いもよらない展開こそ、

「人生は舞台だ!」と言う言葉を体現していると思います。川の右岸と左岸に住むホームレス達が
酒やショバを巡って、カラオケによる対抗戦を行う。

敗色の気配が色濃く漂う右岸軍団をたった1人で逆転勝ちへと導いた、
オカマのジェーンの活躍を描く傑作【薄い金髪のジェーン】。

生き延びる為、そこに唄が流れる。時空を遥かに一飛び、上野の立ち飲み屋台で国民的作曲家が語る、
流浪のバンジョー弾き、その名もアラバマ・ジョーの身の上に降る数奇な運命のお話し。

「詩ってもんは、歴史からちぎれた言葉やろ」そう呟く作曲家が、最後に放った、
歴史を超えたギャグが秀逸な【オールド・ブラック・フォスター】男児を2人続けて授かった家に、

更に双子の男児が誕生した。自暴自棄になった父が、双子の名を赤男・青男、なんて名付けたもんだから…。
マザーグースの寓話や、フィンランドの名監督、アキ・カウリスマキの様に、

残酷なる世界の美しさを淡々と物語る事になるのだ。【赤と青の双子】妹の発作を治す為、
魔法のリコーダーなる笛を手にしたぼくに、奇跡は訪れるのか?【魔法のリコーダー】

ニュー・ハーフのマコの仕事明けの紫に充ちた時間帯を描いた【紫の化粧】
マコの純粋なる生き方が胸に沁みます。観光の為に飼い慣らされた人工の紅葉ではなく、

猛々しい気性を持つ、本当の=野生の紅葉による人身被害が相次ぎ、死人すら出た為に、

当局は真の意味での、紅葉狩りを現地の猟師ふたりに依頼した。【紅葉狩り顛末】
こんな突拍子もない発想を、僅か7ページで抜群の物語として纏め上げ切るのが、

物語の魔術師・いしいしんじさんの真骨頂だと思います。現在自分の顔だと認識している、
鏡に写った自分の顔は、果たして本当に自分の顔なのか?【すげ替えられた顔色】

人の心の隙間を突き弱味を暴き立てる。背筋に、ゾゾッと寒いぼが立つ、
極上のショート・ショートです。タクシーの運転手達の哀歌(エレジー)。

職務に忠実であればある分、人間臭い匂いがする【ボウリングピンの立つ所】春と言えば花、
花と言えば桜、それ故に誰にも言えない悩みを抱えた桜花の気持ちを鋭い視点で切り抜いて見せる

【緑春】散々青色への愚痴を言った後に、緑色本来の和やかさを描いたラストが味わい深く絶品です!!
品切れしているヒラメの代わりとして、手にしたのは、活きの良いアオヤギ。荒っぽい、

やくざめいた獣である【わたしの千食一夜~第百二十三回】奇妙な響きを持つ謎の食品、
“こぎゅんぱ\"の味を想像しニヤけました。ある日突然、

鳥の声が人間の言葉に聞こえる様になってしまった、布吉爺さんと鳥たちとの交流を描いた
【白黒の鳥の声】たった一羽布吉爺さんと会話した白黒の鳥は果して如何なる物の象徴なのか?

病に侵された妻メイ子の為にと産まれたてのおっとせいを飼う事にした夫。だったのだが…。
『生き物はすべて、そう生まれついたようにしか生きていかれないのだ』という名言が

ダイナミックな効果を上げている【おっとせいを飼う】喘息持ちの甥っ子に会うために、
滅菌された部屋まで見舞いに行った叔父がそこで見たものとは…【薄桃色の猫たち】。

シュールかつシニカルな薄ら寒さの中にあるなんとも言えない可笑しさが後からじわじわ効いて来ます。
コップ一杯の水道水を最高に美味く飲む方法とは?空に浮かぶ虹の悩み、

自分は本当は幾つの色で構成されているか?世界で最も透明に輝く宝石とは何であるか?
透明なスープを作る為に最も必要な物って?【透明に関する四つの小話】どれも、あっ!と驚く解決法ばかり。

『限りなく天国に近い地上の楽園』住人達は皆、大きな体と大らかな心の持ち主ばかり。
写真家「ねじまわし」と私は絶滅したとされる幻の鳥を追い求めて、この地へやって来た。

【太ったひとばかりが住んでいる村】自分の目に見えるものだけが真実と思い込まされている我々は、
この世のほんとうに美しいものを、知らず知らずの内に見落としているのかも知れないと感じた。

19の物語には、それぞれ人間が生きている証しがくっきりと刻印されています。
物語の世界にのめり込んで、もう一つの現実を握りしめて下さい!

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≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

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