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【夜市】 恒川光太郎 ~人外の世界の理に触れる本~

夜市 (角川ホラー文庫)夜市 (角川ホラー文庫)
(2008/05/24)
恒川 光太郎

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今宵は夜市が開かれる。そんな惹句に誘われて、夜の闇広がる森の中、
一歩足を踏み入れたなら、そこは、人外の者共蠢く、もう1つの世界だった。

欲しい物が何だって手に入る、代わりに何かを買うまでは絶対に元の世界には帰れない。
それが夜市のルール。幼い頃、偶然にも夜市に紛れ込んでしまった祐司が、

大学生となった現在必死になって買おうと探している物とは一体何なのか?
それに、幼かった彼は、どのようにして、買い物を成立させ夜市から元の世界へと帰還出来たのか?

この美しくも儚い物語には、欲望が生み出す残酷な悲劇と、それ故に欲望や煩悩を統制し、
自分自身の力で希望の道を選択、獲得していく事がどれほど尊い事なのかが教えとして説かれている。

ホラーと言うよりは、むしろ説話や怪談話としての色合いが強く印象として残った。
特にラストは全く予想外の展開で、それだけに切ない程に透き通っており、胸に物語の余韻が残った。

眼前に闇の中仄かに夜市が浮かび上がって来る情景描写力にも、唸らせられた。
人間界とは別の理で、確かに存在している異世界を描いている併録作品、【風の古道】も良かった。

七歳の春、花見に行った公園で、迷子になってしまった私は、親切そうなおばさんから、
家までの帰り道を教わる。「夜になったらお化けが出る道だし、寄り道しないで行くんだよ。」

と告げられたその道は、未舗装の田舎道で、一風変わっていた。道の両脇に家が並んでいるのだが、
どの家々も一軒残らず、この未舗装道に玄関を向けていないのだ。それどころか、

電信柱も、郵便ポストもないし、駐車場もなかったのだ。この時味わった秘密体験は、
自分だけの秘密として守らなくてはならない、もしも守らなければ多分…?本能的な直感として、

「道」について他人に口外するときっと、良くない事が起こるだろう。
そんな理由で記憶の外に置いていたタブー、けれども十二歳の夏休みに親友と心霊話になり、

うっかり口を滑らせてしまう。当然、友達は、「そんな道が本当にあるなら連れて行けよ!」そそのかす。
こうして私と友人のカズキは、私が最初に件の道から抜け出た所に行き、

反対側の出口から引き返そうと計画するのだが…。歩いても歩いても、それらしい場所には着けない。
弱り果てていた二人の前に、謎の青年レンが現れる。異世界には異世界の理が有り、

嘗て存在した入口は既に閉鎖された後との事だ。更に困り果てる二人は、一か八か、
この放浪を続ける青年と異界を旅することに決める。その過程で次第、

次第に明らかになっていくレンの事情。どうしてお化けでなく、妖怪でもない、
生身の人間であるレンは異界から外の人間界に出て行けないのか?

永久放浪者として彷徨い続ける運命にあるのは何故なのか?
理由の一つずつが、とてもしっかり描かれていて、この世と別に存在する世界のルールに

美しい説得力を持たせるのに成功している。特にラストへと至る展開が、
両作品ともに素晴らしく美しいので、是非、どっぷり物語世界に浸かって下さいませ!!

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テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

No title

はじめまして

前に読みました。
ホラーというより、恒川作品は幻想文学のように感じられました。
美しい文体も魅力でした。

コメントありがとうございます。

51さん、はじめまして
そうですね、ホラーというよりも、日本独特の幻想文学の伝統を踏まえた上で成立している世界だな、と感じました。

No title

まずは、あけましておめでとうございます。
昨年はブログ訪問ありがとうございました。
今年も私もちょくちょく感想を読みにお邪魔すると思いますので、よろしくお願いします(*^^*)

恒川さん、独特の時間の流れと不思議な空間を作り出す作家さんですよね。
「風の古道」はどことなく「千と千尋の神隠し」を髣髴させるような物語でした。
この空気感、わりと好きで、次の作品を楽しみにしているところです。

こんばんわ。

お薦めした作品って、楽しんでもらえるかドキドキするのですが、読書カレンダーの評価も☆×5で、作者ではないのに嬉しいです♪

『夜市』はデビュー作で恒川さんの描きたい世界を集約してるような気がします
一応、単行本は全て持ってるのですが(といっても4作しかないのですが)恒川さんでお薦めはと聞かれたら迷わず『夜市』と答えてしまいます。

デビューから1年に1冊は単行本発売されてたのですが、2009年は発売なかったので今年は新作出るだろうと心待ちしているasaです。

コメントありがとうございます。

桔梗さん、コメントありがとうございます。
昨年度は知り合う事が出来ましてとても嬉しかったです。

こちらも桔梗さんのブログに足を運ばせて頂きますね!!

恒川作品は初読だったのですが、キッチリと異界を描いた構成に、他の作品はどうなんだろうと思わせてくれる魅力があるなと感じました。

新作、読んでみたいです!

コメントありがとうございます。

asaさん、コメントありがとうございます。
そして素晴らしい作品を紹介して下さってありがとうございます。
デビュー作が傑作だと後に続く作品が中々大変なんだろうな、とは思いますが、あそこまで異界を構築出来た方ですし、新刊を楽しみにしたい方ですね!
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福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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