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【ブエノスアイレス午前零時】 藤沢周

ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫―文芸コレクション)ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫―文芸コレクション)
(1999/10)
藤沢 周

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『藤沢周平』でなく、『藤沢周』なのである。嘗て、中上健次がそうであった如く、
この作家も又、純文学の極北に立つ作家の1人である。

世界と世界の間にあるザラザラの皮膜を丹念に掻き集めては、
物語を紡ぐタイプの、凄みが感じられる。芥川賞を授賞した今作でも、表題からして、

アルゼンチン・タンゴの神様、故アストル・ピアソラの曲名が使われているのだ。
表題と内容とが、絶妙に引き寄せあっているように感じられるではないか!?。

舞台となるのは、山麓の温泉地よりも、更に外れた所に在る、
ホテルとは名ばかりの温泉旅館『みのや』。唯一の売りは、コンベンションホール。

社交ダンスを踊る老若男女の団体が大挙してやって来る。
が、その実、自慢のホールも、月に最低二回は団体客が入ってくれない事には、

即座に、立ち行かなくなってしまう。主人公のカザマは、
冬場は雪が三メートルも降る山奥のホテルで、毎朝、温泉卵を源泉で作り、

二個ずつ食べているUターンの男。屈折し、ブレた自分の日常を、
ただ淡々と受け入れているかの様に。そんな単調なリズムを刻みながら暮らすカザマの前に、

突如現れたのが、盲目の老嬢、ミツコ。カザマの事を温泉卵のいい匂いがする人、
と言って微笑む彼女は、現在自分が何処で何をしているかの認識すら出来ず、

記憶は主に、世間から後ろ指を指されるような仕事をしていた五〇年も
昔の自分への懺悔の念に回帰して行く。ただ、彼女が懺悔をするのは、世間にではなく、

彼女の前を過ぎ去った男たち。それも、地球の裏側、
アルジェンティーナのボルテーニョと呼ばれる人たち。老嬢ミツコの、

半世紀越しで保ち続けている浪漫の香りに惹かれ、
何とかして再び彼女を踊らせたいと奔走するカザマの、

終始、居心地の悪そうな胸の内の独白が良い。世間の真芯からは、
大いにブレた地平で、二人たどたどしく踊るアルゼンチン・タンゴ。

闇の色は真っ暗な黒ではなく、濃い青色。武骨だけれど、
美しいタッチで世界を描いた小説です!

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テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

この本には脂肪がありません

藤沢周はやっぱり
『ブエノスアイレス~』がいいですよね
贅肉のまったくないとぎすまされた文章!

最初この本読む前って
アルゼンチンが舞台の話なのかなぁなんて
漠然と思っていて
ホントいい意味で裏切られました(笑)

『雨月』とか『箱崎ジャンクション』とか
もけっこう好きです。一筋縄じゃいかないざらざらっとした人間ドラマみたいの上手いですよね

藤沢周さんって

なぜだか余りに知られてないですよね。

図書館ですら、

『藤沢周平』の棚に置かれていたりして…。
でも色々な作家さんと比べてみた時、暴力的な描写一つとっても、
内面の違和感や、ざらついた怒りを書くのが上手いので、安心してストーリーに身を任せられますよね。

僕は『サイゴン・ピックアップ』なんかも好きです。

王子様が知っていて下さりうれしいです!

はじめまして。

初めまして、ピアソラの名曲のタイトルが目に入り、思わずご訪問させていただきました。
この曲と同名の小説がある事をまったく知りませんでした。しかもすごく面白そうです!

この曲はかなりの難曲で、初めて聴いた時は「これでタンゴ踊るのか!」と結構なカルチャーショックだったのを覚えています。でも忘れられなくて…。

この作品も同じ感想を抱きそうな予感がします。
素敵な本をご紹介下さってありがとうございます。

初めまして

はりゅうみぃさまへ

ピアソラの曲名が縁で本の話が弾む。

こんな風なキッカケがあるなら、あまり知られていない書籍を紹介するのも捨てたものじゃあないな、って感じます。

僕はピアソラに詳しくありませんが、この物語でタンゴのペアを組む男女の醸し出す雰囲気からイメージをして、なんだか素敵な気分になったのを覚えています。

こちらこそ、直感から御立ち寄り下さった事、光栄に思います。
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福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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