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【エスケイプ/アブセント】 絲山秋子

エスケイプ/アブセントエスケイプ/アブセント
(2006/12)
絲山 秋子

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絲山秋子作品は【海の仙人】に続いて、二回目の体験。それにしても。
絲山節とでも言うのだろうか、今回も。世間の、何処に隠れて居るかは知らねど、

虱潰しに捜せば、確実に存在しているであろうタイプの人間たちを見つけ出し。
そんな彼らの言動に圧倒的リアリティーを持たせる事に易々と成功してみせるのだから。

まったく!畏れ入るより他にない!!。エスケイプとアブセントの中篇2つが、
時間差で対になっているのも凄い!タイトルに込められた深い意味、バックレと不在。

エスケイプの主人公は江崎正臣。1966年生まれ四十歳。
運動から足を洗ったばかりの元・活動家。

仙台に居る妹に念願の託児所を開設したから、働きに来て欲しいと言われている。

それまでの猶予期間は一週間。
ダメで冴えないオッサン正臣の、バックレ人生振り返る、感傷旅行。

正臣の吐く独白、一発、一発が、ちょびっと意味ありげなのが胡散臭くて笑える。

口癖の『どっかで暴動でも起きないかなー』
(色々調べたら1990年の大阪・西成の暴動は大きく、正臣も年齢的に参加しているかも)とか、

『そりゃあいい気分だったぜ。
自由を勝ち取ろうなんて言うのをやめた瞬間自由になっちまったんだもの』とか。

騒ぎと、高揚、だけを延々待ち侘びた挙げ句、
人生をだめにした男の捨て身とハッタリの煙幕っていうのかな…。ガツン!と響いて来ます。

『だけど、中年からだってまだ人生はたっぷり残っている。こいつがなかなか難儀だ』って、絲山さん。
どうしてこうも上手く読んでる側の身につまされる生々しさが書けるんですか!?

夜汽車の中、酒盛り始めた正臣は目的地あっさり京都に変えちゃうし、脳内のBGMにルー・リード、
『ワイルド・サイドを歩け!』チョイスしてから、自身のゲイをカミングアウト。

8才で見た『三菱重工爆破事件』の映像を見て、
高層ビルぶっ飛ばす事を堂々と正義と信じてる大人が存在するのを知り、

こども心に1人密かに【過激派】に憧れていた事。それから、パンク・ムーブメントに
乗り損ねちゃったもんで、アンダーグラウンドな世界に走った事。

で、かれこれ二十年一番好きなギタリスト、
ロバート・クインのアルバム【エスケイプ】を探し続けてる事。

最初の内、酔いと旅情に浸っちゃテンション最高潮もう告白しまくりで!
でも、四十過ぎの子供程度の世間値な自分には、

一週間後に始まる新生活は毎日が社会科見学だな、こりゃ。と寂しくなり不貞寝する辺りには、
そこはかとない悲哀が。いざ京都に降り立ってからも、せっかく見つけた【エスケイプ】を、

店の棚見てる間に、頓珍漢な格好した西洋坊主バンジャマンにタッチの差で買われてしまう。
あ~あ。で、明日の夕方教会に聴きに来いよ!と誘われる。このオッサン共と来たら…。

教会で何ちゅー音楽聴いとんのじゃ!?。周囲からの人望だけで、
勝手に神父に奉り上げられた偽外人で、コスプレ神父の番ちゃん。

そんな中、バックレ人生の正臣にも、【不在】が、行方が、どうにも気になる、
『あいつ』の影チラリ、チラリ。顔を覗かせる訳で。

終盤、バンジャマンのピアノの調べに乗せて全身全霊で祈る正臣。

『神さまよ、人の罪なんか聞くより、むしろ応援しろよ。あんたのつくった人類のこととかをよ。
もちろん、おれのこともよ。つうか、あんたって会社で言ったら社長みたいなもんじゃね~の?

だとしたらおれたちの罪みんなまとめてあんたの責任でもあるわけじゃん。
そうは言っても人類なんて手にあまるだろ。だったら祈れよ。あんたこそ祈れ。祈り続けろ。』

やけっぱちな祈りの後のバンジャマンとの何気ない会話。
謎を打ち明けるように告白される驚きの【あいつ】の正体。

これを知り後編のアブセントを読み、もう一度エスケイプ読んで下さい!
人は死ぬまで生きるんだ、って当たり前の事が、大事に、大事に、書いてある傑作です。

◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

こんばんは♪
今夜も遊びに来ました(*^_^*)
彼女の作品、『ニート』なんかが好きで
読みましたね。
最近はあんまり読んでないなぁ。
いいレビューだったんで、今度読んで見ますね!

hirokun さんへ

こんばんは。

彼女の作品がお好きなら、きっと合うと思います。
小説としての作り方が面白かったので、
精一杯レビューにしてみました(^-^)

是非お時間見つけられて読まれてみてくださいね☆
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福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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