スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【どこから行っても遠い町】 川上弘美

どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

商品詳細を見る


川上さんの書く小説はすっきりとしている。そこが好きだ。
日本語の持つ美しさ、言葉の響き、さらさらと水の如く流れる文章。

身体の中の胸の内側、思いが言葉に変わっていく様子が、鮮やかに描かれてある。
どれだけ人間を観察したなら、これほどまで的確に人が物を思う時の心の揺れを書けるのだろうか!?

連作短編である今作において、登場人物達の関係は、
様々な形にリンクし、スライドしあいながら存在する。各人の物語。

心象風景から浮かび上がる町の輪郭。地域に根ざした昔ながらの商店街の姿。
買い物にはセットで世間話が付いて来る。

名前は?年はいくつ?へぇ、何やってる人?そう、先生なの偉いね!
最初は戸惑いつつも、次第に町と顔馴染みになる妙子の描かれ方が良い。

町を外から傍観していたのが、日々の暮らしを通じ、
自分や周囲の人々の内側に潜んでいる気配を観察出来る迄に変化して。

魚春の主人平蔵さんは、死んだ奥さんの愛人源さんを、
ビルの屋上に建ってる不思議な形の小屋に住ませている。

『あれは、憎みあっている顔ではない。そう思った。
あれはただ、いろいろなことを見てしまった顔だ。』果たして2人は何を見てしまったのか!?

短編の1つ1つを縦糸横糸に、織りなされる人生模様。
その流れが在るからこそ、最終話に明かされる謎や結末の静けさが胸に沁みるのだと思う。

それ位、どのエピソードも現実として、何処かで起きていそうで凄い。
特に、【蛇は穴に入る】に出て来た介護ヘルパー谷口くんが印象的だった。

福祉の仕事をする前に勤めた職場では必ず、
「不運な巡り合わせ」とでもいうべき出来事が起きている。

突然社長に頬をグーで殴られたり、パンチパーマをきつくかけた女性上司に押し倒されたり、
好意を寄せていた子が強盗に殺されたり。

けれども彼の語り口は何気なく
『ちょっと思い出話をしてみました。』風の、さりげなさすら漂わせている。

流し読みしそうになったけれど、劇的な出来事も案外、
当事者にすれば淡々と語る他に方法は無いのかも知れない。

小学生から、お年寄りまで。様々な年齢の登場人物が胸の内を、ありていに打ち明ける様。
人生を、穏やかに力強く肯定してくれる傑作です。

装画の谷内六郎さんの絵柄やぬくもりある本の質感も味わって下さいね。

◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログへ
読んで気に入って頂けたら応援宜しくお願い致します!励みにして書き続けます。

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

コメント

この本ぜひチェックしてみたいと思います

川上弘美さんはほんとうに文章上手いですよね。ああいうシンプルでさらさらと流れる文章は大好きです。以前サイン会で生川上さん見ましたが本当にキレイな方でした。


赤坂王子さんへ

こんにちは♪

川上弘美さん、日本語の語彙力の豊富さと言い、
文体と言い,やられっぱなしです。。

この本も流石の一言です。是非読まれてみて下さいね!!

サイン会行かれたんですね、羨ましいです!(*^-゜)v♪
Secret

SNS「本カフェ」参加中!

ランキングに参加しています!

にほんブログ村 小説ブログ エッセイスト志望へ

プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

皆様、お友達になって下さいね。お声かけてくれたら嬉しいです。
初めてこのブログを読まれる方は、こちらから読まれてくださいね。

【ラブ&シェアについて】親愛なる皆様へ

【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

◎このブログ・私たちは著作権を放棄しておりません◎

イラスト等を使用されたい場合はメールにてご連絡下さいませ♪

love_heartgraffiti★yahoo.co.jp ★を@に変えてご連絡下さい。

※あきらかに当ブログと関係のないと思われるコメント・TBや『これはひどいなぁ』と行き過ぎを感じさせるコメント・TBは削除させて頂く場合があります。ご了承下さいませ。

メールお待ちしています☆

名前:
メール:
件名:
本文:

HEARTGRAFFITIのすべて

ご訪問ありがとう!

☆検索☆

ジーナフウガの一冊入魂レビュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。