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【夜の神話】 たつみや章

夜の神話夜の神話
(1993/07/26)
たつみや 章

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作者、たつみや章さんの、『これが伝えたいんだ!』という熱い思いが、物語の全編にみなぎっていたので、
大変興味深く楽しんだ。典型的な都会のマセガキな主人公のマサミチが六年生という設定が、

この物語にちょうどよいなと思った。悪いことをすると罰が当たる。そんな理由が息づいている世界観。
マサミチに、巧妙に饅頭を食べさせた、ツクヨミのお方さまを筆頭として。

家神といわれる、ヨネハラさんや、月うさぎなど。登場してくるキャラの描かれ具合が親しみやすくて
興味を惹かれた。闇鬼(あんき)という概念には思うところあり。自己中心で他を思いやる気持ちをもたない者。

欲が深く、自分の欲を満たすことだけしか考えられない心の事。ムー大陸の人々は闇鬼で滅んだ。
それにしても、たつみやさんって、子どもの中にある様々な要素、ワガママなだけか、

と思えば魂に純粋無垢な聖域を保っていたりする点、などなどを巧みに描き分けるよなあ、凄い!
そこら辺があるから、マサミチが神々の世界の存在、自然界の理を、素直に吸収できるようになるのに

違和感を覚えないんだと思う。たつみやさんの作品の中で繰り返し述べられる世界観。
「鳥も獣も虫も魚も。木や草たちだって、ちゃんと言葉をもっています。魂をもってるんですからね」にも

共感する所、大だった。そんな中で、マサミチは、パパの同僚でもある大好きな、
「スイッチョさん」の身体が、青い炎に包まれているのに気付く。ヨネハラさんを揺り起こして問うと、

「あれは、病ではあるが病ではない。おそらくは、人が作りだした毒のしわざでしょう」と告白される。
毒の正体はパパが勤めてる原子力発電所の放射能だった。スイッチョさんは自ら、故障した弁を閉めるために、

ふだんは立ち入り禁止の危険区域に入った。それで大量の放射能をふくんだ蒸気を浴びてしまった。
スイッチョさんは、もしかすると死んじゃうかもしれないんだぞ!だったら……

ぼくがどうにかしなくちゃいくないんじゃないのか?
スイッチョさんをたすけられるかもしれないツクヨミさまに、

たすけてくださいっていいにいけるのはぼくだけで……。命懸けの思いで動き出した所に、
ヨネハラさんに連れられスイッチョさんが現れる。いよいよ、原子力発電所の原子炉が壊れようとしてる……。

印象的だった言葉がマサミチのパパが所長と電話でのやり取りをした後の絶叫

『会社にたかだか二、三十億円の損をさせる決断ができんのだ、所長は!もしこれが重大事故になっちまったら、
損害は金の問題なんかじゃなくなるっていうのに!』この小説は実に20年近く前から、
原発の事故が地球環境や人間に与える甚大な被害を予想し警鐘を鳴らしていたことになる。

そして最終的に脱・原発に向かい代替エネルギーを提案している点が、
今後人類が進むべき道を照らしているのが、大変素晴らしく、単なる絵空事でない物語の現実への

踏み込みかたに拍手を贈りたいと感じた。原子力の問題がクローズアップされている今だからこそ
読んで欲しい傑作です!!


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【道徳という名の少年】 桜庭一樹

道徳という名の少年道徳という名の少年
(2010/05/11)
桜庭 一樹

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熱烈に好きな作家桜庭一樹さんの2010年度作品。
1作品、20ページ程度の連作短編5つから成立する、合計でも120ページ余りの作品集。

だけれども、この濃密極まりない世界観といったら何だろう!?まずコトの始まりからして濃密だ。
【1、2、3、悠久】町で一番の美女が父親不明の女児を産み落とす。その女児は、1と名付けられた。

町の人々は、父親の面影を女児に見出だそうとするが、母親に生き写しの女児からは、何の推測も出来ない。
恐る恐る、美女に父親を尋ねるが、『死んだわ!』と呟かれるだけで、

人々は最近の内に死去した亡者探しに奔走するのだが。一番手近な葬式は善人だった
町長が百歳で大往生を遂げたのみ。彼が果たして不道徳な営みに関わったか?

町中で、なにかの間違いだろうと言い聞かせている間にも再び美女は女児を授かる。
2と命名された赤子へも、インディオの召使から父について聞かれるが、美女は黒い巻き毛を揺らして

『あんまり若くて、言えないわ!』言い放つのみ。今度は町の学校が恐慌状態となる。
罪深い不道徳な少年を探して噂が駆けめぐった。だが。町民たちの疑心暗鬼の念など関係なく、

美女はまた腹を膨らませ、女児3を産み落とし、やはり、この児も母親瓜二つだった。
此処まで至ると、最早誰も、父親について聞いてくれとは頼まなかった。

秩序が壊れ始めていたから。倫理観などとは別次元に生きた美女は懲りずに末娘を産み、
こんどは、悠久と名付けた。挙げ句、美女は娘たちを棄てて、旅の商人と手を取り合って町から消えた。

なんとドラマチックな展開を思い付くのだろう!?冒頭に過ぎないページ数を読むだけで幾度となく嘆息した。
そんな気持ちも束の間。襲いかかる様に次なる衝撃的筋書きが!!

悠久が母親と同じ因果な原因(父親違いの弟との間に授かった)を背負い、
薔薇の如く美しい男の児を出産したのだ。彼女が、姉たちと4人して血縁に抗うべき名前として選んだのが、

『道徳・ジャングリン』シニカルな描写だなあ、と興奮しつつ次の章へ、次の章へと、
ページを捲ったのだった。数奇なる運命に生きるジャングリンの名前とは正反対の、不道徳な、

薔薇のような日々の描かれ方には、上質な海外文学を読んでいる様な極上の読書時間を、体験させてもらった。
印象的な言葉として『孤独な人間というものは、得てして、道徳を軽視するものだ』という一文が

深く胸に刻まれた。桜庭さんの大傑作【赤朽葉家の伝説】とも違う味わいの、
一族の物語を是非、御堪能下さいませ!!あ、それ物語に迫力を増加させてる挿画も素晴らしいですよ!

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藤長聖子です。

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≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

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作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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