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【せどり男爵数奇譚】 梶山季之

せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)
(2000/06)
梶山 季之

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先日読了した【ビブリア古書堂の事件手帖】に於いて、重要な鍵を握っていたのが、
この小説と、主人公で【せどり男爵】の二つ名を持つ笠井菊哉氏であった。

狂信的な古書マニアが使用した物語と、その主人公。これは、本好きの端くれとして見聞しておかねば、
との思い強く、手に取った次第である。六編の連作短編から出来ている本書であるが、

先ずは筆者と男爵笠井氏との出逢いからして面白い!筆者である梶山季之氏が働いていたバーに、
時々現れては、焼酎やジン等の透明な酒を水で割って創るカクテル、その名も『セドリーカクテル』のみ注文し、

きれいに現金で支払いを済ませ去って行く。謎多き紳士として、筆者の記憶に残っていたのが笠井氏だった。
作家となってから客として飲んでいた店に、相変わらず謎に包まれた風貌で入店してきた男性に、

勇気を出して話し掛けてみた所、向こうも梶山氏の存在を記憶していて、貴方にならばと、
自分の関係している古書店の業界内で、如何にして己が【せどり男爵】と呼ばれるに至ったかを

打ち明けるのだった。はてさて肝心要の【せどり】なる行為であるが、これは、新規開店の店へ行って、
必要な古本だけを買う事で、俗に『抜く』とか『せどり』と云うのだそうな…。

笠井氏は本物の男爵家の子息でもあったから、せどり名人である彼に、皮肉と敬意を込め、
【せどり男爵】の誕生と相成った訳である。それにしても、様々な古書業界の内幕が分かって、すこぶる面白い!!

全集は一巻でも抜け落ちていれば価値は暴落。反面、全巻がキチンと揃っていれば価値も価格も高騰する。
だから好事家は今日も、恋人探しの如く、一冊の書物を求めてさ迷う。

男爵が宝物一冊を入手する為に払った驚くべき代価とは?男爵が仙台のクズ屋の店先に見つけた
永井荷風の発禁書【ふらんす物語】。裏表紙の内側に貼られた蔵書票の、

その下に隠されていた謎の伝言を読み解いていくとそこには…。
古書店主たちと訪れた韓国で、総額一億二千万円もする、コインの一枚を購入した縁で、

沢山の宝物を入手する経緯。笠井男爵が、プライベート用に秘蔵していた、シェイクスピアの初版本を巡って、
アメリカを影から動かす権力を持っている、大富豪婦人との丁々発止の駆け引きと、

『セドリーカクテル』誕生秘話。ここの部分は、さすが男爵と渾名されるだけあるなと笠井氏の手腕に舌を
巻きました!!それにしても、こうして、長い間本好きに読み継がれている隠れた名著が

他にも沢山あるんだろうなと思うと、自分も古書の世界へ惹かれていくのが分かります。あ、そうそう。
この本も特装限定版が五部上梓されているそうです!これから古書店巡りが益々楽しみになりました。

全ての本好きさんにオススメしたい逸品です!!


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【陽だまりの彼女】 越谷オサム

陽だまりの彼女 (新潮文庫)陽だまりの彼女 (新潮文庫)
(2011/05/28)
越谷 オサム

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目下マイブーム真っ最中、一押し!作家、越谷オサムさん。
抜群の発想力を持って書かれた小説は、笑いや人情味に溢れていて、どの作品も抜群に面白い。

その越谷さんの作品が、某K國屋書店やJ堂書店さん両方で売れてる文庫ベスト10ランキングに
名を連ねていた。当然の如く嬉しくなり、即、購入へと至った訳である。

いやが上にも期待を煽る帯文に胸踊る。『それは、一世一代の恋(うそ)だった。
女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1』おほー、今度は濃密なベタ甘風味ですか!?

主人公の2人の名前は浩介と真緒。中学生時代に分数の計算はおろか、漢字の読み書きもままならない
『学年有数のバカ』と呼ばれ、仲間外れにされていた真緒の面倒を見ていたのが、浩介だけだった事もあり、

2人は2人だけの、秘密の親密さをも持つような関係になっていた。所が、中学3年生になり、
浩介が引っ越してしまった為、2人の関係は永遠に閉ざされたかに見えた。

のだが、浩介の勤める鉄道広告会社のクライアントとしてやって来た下着メーカーの広報部に、なんたる事か!
真緒が同行していたのである。更に驚くべきは、彼女は十数年の時を経て、バリバリ仕事もこなせる、

イケてる大人の女性へと、一大変貌を遂げていたのだ。が、浩介には昔通り、
砕けた態度や関係を保ってくれる訳で。2人の熱烈ベタ甘恋愛路線が展開されるのも無理はないだろう。けれど。

甘いだけでは渡れないのが『世間』って奴の正体なのだ。初めて真緒の両親に挨拶に行った時、
浩介は彼女の父親から、『真緒の秘密』を告白され、結婚を反対される。秘密は秘密であっても、

真緒は真緒だから、と駆け落ちして入籍を果たす浩介と真緒。幸せな日々を暮らしていく2人。
ただ、この幸せな生活の中でも真緒は様々な謎の行動を取るようになり…。遂に結婚一年後。

驚くべき運命が愛し合う2人の上に襲い掛かって来る!!正直面食らう展開だった。
でもラスト付近で、浩介が真緒の両親と交わした会話の温かさ。最後の最期、明らかになる全ての謎と、

実は深い意味の込められているタイトルに上手に騙されました!様々なジャンルの小説を網羅したロマンス小説。
読了後の爽やかさを体感しながら、ビーチボーイズの『素敵じゃないか』を聴けば最高の気分が味わえますよ!!

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【スターバト・マーテル】 ティツィアーノ スカルパ

スターバト・マーテルスターバト・マーテル
(2011/09/14)
ティツィアーノ スカルパ

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この本のことはbk1さんのオススメ書評欄に掲載されていた書評で知り、どうしても読まねば!
と言う気になり手に取った次第です。それにしても、170頁に満たない、この中篇小説は、

とんでもない吸引力を放っていました!全編を通じて、養育院に住み暮らす、
孤児の少女チェチリアが己の孤独や、自らの死をも含め、自分を捨てた母親に向けて、

赤裸々に独白するるのですが、その切実過ぎる内容から、目が吸い付いて離れなかったです。
養育院では、孤児の少女達から、特に芸術的才能を有する者を選り分け、音楽の英才教育を施す。

そんな日々を繰り返す中で、チェチリアは自身の持っている創造的感受性に押し潰されそうになる度、
秘密の闇夜の場所に隠れ、黒蛇の頭をした、象徴としての《死》に語り掛けるのです。

その生々しさと来た日には!!少々長くなりますが、引用をさせて下さい。
『お母様が感じたはずの恥を、自分でも感じてみようとします。自分の中に過ちを宿すって、

どのような気持ちなのでしょう。なにが第一なのでしょう?誠実であること?けがれない処女でいること?
自分のけがれを愛すること?自分の過ちを自分の心の中にもち続けること?子供を見捨てないこと?

なにが第一なのでしょう?なにがいちばんだいじなのでしょう?』黒蛇は意味深に応えます。

『人の話を聞くとき、あなたは彼女らの口の中の黒い歯を見ている。
生きている間に言わなければならなかったたくさんの言葉のせいで、黒くなってしまった歯を。

それにあなたは相手の目を見ないで、その少し下を見ている。
生まれたときから見なければならなかったたくさんのことのせいで、くすんで腫れぼったくなった隈が、

あなたは気になってしかたがないのよ』わたしたちはまだ生まれてはいない。
そう信じ込んでいたチェチリアの小さな世界を壊し、より外の世界へと向かわせようと登場するのが、

新任の、アントニオ・ビバルディ神父。神父の型破りで、芸術至上主義なやり方は、
チェチリアの内側を、轟音と共に鳴り響く稲妻と化して、いたいけな少女に襲い掛かって来て…。

クライマックスに向かう局面の圧倒的な描写を是非あなたにも味わって欲しい、孤独とは?
生や死とは?を深く考えさせる一冊。是非、読んで震えて下さい!!

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【なずな】 堀江敏幸

なずななずな
(2011/05/02)
堀江 敏幸

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上質のスピリッツを飲る時みたいに、ちびり、ちびり。舐めるようにして味わいたい。
日常を続ける間に滲み出した灰汁を、丁寧に、丁寧に、掬い取ったかのような、柔らかで、穏やかな文体。

純文学とはこのような小説を指す言葉だと思う。極上の小説である。
旨みのたっぷり備わった、愛すべき物語でもある。本来であるなら、主人公は語り手である菱山なんだろうが、

彼自身も認めているように、赤ん坊のなずなが菱山の所に、よんどころない理由で預けられてからの、
菱山の周辺にいる人々との日々が、この小説の中核をなしていると言っても、決して過言ではないだろう。

いや、更に言及するのならば、物言わぬ、生後2ヶ月過ぎの赤ん坊なずなこそ、全体を通じ、
主人公的な存在だと確定する事が可能だろう。小さな地方都市の、これまた小さな地方新聞の記者をしている、

菱山の関わる人たちが皆、人間味豊かで、魅力的なのも、なずなを育てる菱山にとって、
心の栄養剤となるのに力添えをする役割を果たしていると思う。普段は飄々として、

頻繁に酔っぱらっているが、腕は確かで患者の子供らから慕われている小児科医、ジンゴロ先生の人物造詣、
時々語る含蓄のある言葉が素晴らしく良い。『世の中はなんでも悪と善に分けたがる』

『白黒半々くらいが、ちょうどいいんだ。』菱山の住み暮らすマンションの、
一階に並んでいる数軒の店舗のひとつ、《美津保》のママについての記述も、

その人となりが絶妙に伝わって来る。『新聞記者の取材ってどうなのかわからないけど、
あたしに言わせれば、誰かと誰かを結ぶ距離って、まっすぐなのが最短なわけじゃないのよ』どうであろうか?

日常から当たり前過ぎて、ついつい見過ごされたり、聞き流されたりする、何気ないけれど、
人が、生きていく上で大切にしたい何かを、作者堀江敏幸さんは、徹頭徹尾、真摯な姿勢で書いている。

純文学、何とも素敵ではないか!?。なずなの小さな生命。慈しむとは、こういう心の働きを指すのだろうな、
と感じる。なずなが来てから私の身に起きた大きな変化のひとつは、

周りがそれまでとちがった顔を見せるようになったことだと、語り手菱山は実感している。
『人が人と接するときは、知り合ってからの時間や関係の深い浅いだけではない、タイミングというものがあるのだ。』

『間近にいる人間と、心から真っ直ぐに言葉を交わし、「いま」を見定める、その繰り返し以外にないのだ。
人恋しいときは、誰と話をしても楽しいように。そして、まだ言葉も知らない赤ん坊に話しかけているだけで、幸せになれるように。』

読むと、穏やかで幸せな気持ちになれる事受け合いです。
単純に素敵な小説なので大オススメを致します!!。

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プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

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【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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