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【むかしのはなし】 三浦しをん

むかしのはなし (幻冬舎文庫)むかしのはなし (幻冬舎文庫)
(2008/02)
三浦 しをん

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限りなく壮大な試みに挑戦した作品集である。昔話を現代社会に採り入れて作品を展開させたら、
語り手や聴き手は果たしてどの様な存在になるのが相応しいかというテーマに真正面から取り組んでいる。

決して安易なパロディーに走らず、今の社会の取り立てて大きくはない日常から非日常性が立ち上がるのを
目を凝らして観察した結果が、収録されている七つの中・短編小説として昇華されているのではないかと思う。

冒頭に記された言葉も頁を捲るに連れ、加速度的に印象が強くなる。ここに引用したい。
『わたしを記憶するひとはだれもいない。わたし自身さえ、わたしのことを忘れてしまった。

胸のうちに、語り伝えよという声のみが響く。これはたぶん、思い出のようなもの。
あとはただ、ゆっくりと忘れ去られていくだけの。』

現在が過去に、それより遥かに時が経ち、風化して、我々現代人も
『むかしむかし』と語られるような日が来るのだろうか?想像してみると、

なんだかじんわり楽しいではないか…。改めて、書き手としての三浦しをんさんの手腕には脱帽する。
更に中盤に収録されている【入江は緑】から、当初は一つ、一つの小説が個別に独立しているかの様に

思わせられていた、作品同士が、実は微妙な相互関係の下繋がっていた事に気付かされ、とても驚いた!
『地球は三ヶ月後に衝突する隕石によって滅亡する。だから木星までロケットに乗って脱出する人類を、

都合、一千万人抽選する。当選者番号は随時ニュースで発表される。』特にヤラレタ!と
思ったのは冴えない空き巣が刑事相手の調書に応えているだけだと思っていた、【ロケットの思い出】と、

【たどりつくまで】に登場する、怪しげなタクシーの乗客との接点に気付いた瞬間だ。
これ以上いうとネタバレになるから言わないが、この伏線の回収以外にも様々な仕掛けが用意されているので

是非とも探される事をオススメする。それにしても。一千万人を木星に運ぶのには何回ロケットを
飛ばさなくちゃいけないのだろう?なんて事を本編中唯一の中編

【懐かしき川べりの町の物語せよ】を読みながら思った。作中の主人公で伝説の不良モモちゃんは、
あっさりとロケットに乗ろうとするあがきは捨て『死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか』と

滅亡する運命に従ったのだ。だが。モモちゃんとの、ある夏の日は語り手が居る以上、
永遠の物語りとして聴き手に受け継がれてゆく。三浦しをん作の、傑作昔話の誕生だ。

小さな頃、【桃太郎】や【浦島太郎】を語り聴かされた時の様な胸のときめきを持って読んでもらいたい。
最良の読書時間をお約束致します。

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【東と西 1】 いしいしんじ、西加奈子

東と西 1東と西 1
(2009/12/01)
いしい しんじ、西 加奈子 他

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表紙に書いてあるキャッチ・コピー『日本じゅうを言葉の力で縦横無尽に飛んでいく新しい小説集。』
『日本には、まだ小説がある。』と言う何とも言えない、力強さに惹かれ手に取った一冊。

東西6名、実力作家の手による書き下ろし中編小説集。いしいしんじ作品【T】
とにかく、もの凄い破壊力を持った文体を直球ど真ん中で、ズシンズシン放ってくる。

読んでいて、ひたすら圧倒されまくりだ。例えば…。
『Tがいなくなった。そんでまた回転してあらわれた。(中略)なんでこんなネバネバすんだろうな。』

と来られたら、こちらは平身低頭のまま、言葉を浴びるしかないではないか!?
信州松本で育った『池田』という苗字の男の数奇な成長ぶりが語られる前半、そして、

松本に居る時に身に付けた、土方仕事を通じ就職した大阪樟葉(くずは)で
土着的な生活を過ごす穏やかな日々が描かれた中盤。だが、物語後半、文字通り池田の身の上に

奇想天外な事態が起こる!是非とも、読んで体感して欲しいシュールな世界だ。
西加奈子作品【猿に会う】中学生から短大まで一緒で、卒業してからも変わらず

仲良しな実家暮らしの関西人女子三人組の日々を、淡々とした筆致で切り取って見せてくれる。
なるほどなぁ、と思ったのが、スパゲッティが食べたいと言った女の子に、別の女の子が、

『今時はパスタって言うんやで』と教え諭すシーン。男子では知り得ない真実味を覚えた。
それにしても、この作者は、何気なさ過ぎて見落としてしまいがちな、

日常にほんのすこしだけドラマ性を与えているはずのエッセンスを丁寧に拾い上げ、
物語に抑揚を付けるのが巧い人だなと感じた。栗田有起作品【極楽】

河童のQが長い長い旅路の果てに行き着いた極楽とは一体、どのような場所なのか?
独特のブラックユーモアが散りばめられた快作です。お次は、この本の装丁担当をしている

池田進吾さんの初の作品【赤、青、王子】装丁をされてるだけあって色を表現する手際の良さが素晴らしい。
赤いインクに、青いインクを練る仕事。まだまだ世の中には奥深い職業の世界が広がっているようだ。

藤谷治作品、これが出色の素晴らしさ。花魁清鶴と酒問屋の若旦那進兵衛の恋模様
【すみだ川】はまるで古典落語の人情噺に触れているようで、ちょっとグッと来る物語でした。

この独自の内容世界を持つ作品集もいよいよラスト。森絵都作品【東の果つるところ】
日本人が歴史を通じて守り抜いて来た『家』と『家族』その家が、家族が守って来たものが、

狂信的な左右対称のみ良しとする名付けの歴史だとしたら、あなた一体どうしますか?
非現実的な現実が迫り来る筋書き。冷や汗をかきつつ読み切りました。

それにしても読書筋力を鍛えられる良い企画のシリーズが読めたと満足しています。
是非あなたも体験されてみませんか?

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【闇の守り人】 上橋菜穂子

闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)
(2006/10/31)
上橋 菜穂子

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『守り人シリーズ』第2弾は女用心棒バルサが25年の歳月を経て、
生まれ故郷であるカンバル王国に戻ろうとする場面から始まる。バルサは養父ジグロがある理由から、

自分を連れ逃げ延びた時に使った、洞窟内の闇の中を手探りで進んでいた。
それと言うのも洞窟には火を嫌う『ヒョウル(闇の守り人)』が暮らしていて、

松明を持った侵入者は命を狙われると伝えられていたからだ。
けれども、単独で洞窟内に入ったジナと、彼女を救う為松明を持ち込んだ兄カッサとの兄妹が、

まさにヒョウルに襲われる所を、間一髪助けようとして、バルサは早速ヒョウルと手合わせをする事となる。
が、お互い凄い使い手の様で、技がからみあい、ひとつの流れになってしまう

『槍舞い』を舞うことで手合わせは終わる。お礼をしたい様子の兄妹に、訳ありのバルサは
『わたしは〈償い行〉つぐないぎょうの最中なんだ。』と話し納得させる。

償い行とは、なにか重い罪をおかし、その罪を償う前に死んでしまった肉親や、
恋人の罪を償う為に行う苦行をいう。バルサは養父ジグロの為に、償い行をしているようなものだ。

しかし、せっかく言い聞かせたバルサを秘密扱いにしてくれという約束も、
ジナが偶然、洞窟から持ち帰った、カンバル国の秘宝であるルイシャ〈青光石〉の存在がばれて、

洞窟内で起こった一部始終を話さねばならない羽目に陥ってしまう。
そして25年の年月の間に、ジグロがした事になっている悪行の噂の影に

ジグロの弟ユグロの存在が絡んでいる事に気がついたバルサ。全体を通じ、
人の心に巣くう怨みや憎しみの闇の感情に光が当てられていて、

特に自分の権力の座を守るために嘘に更なる嘘の上塗りを繰り返すユグロのエゴイスト振りが目立つ。
バルサを確実に仕留める為、射っ手(うって)の槍にトガルという毒を塗らせてまで執拗に追い詰める。

反面、バルサの誇り高く潔癖な振るまいには微塵の嘘・偽りもない。
次第にあらゆる人たちを味方に引き入れていく様に凛とした美しさを感じた。

カンバル王国の地下に住む〈山の王〉の領民たちの意外な素顔と、
私たち読者の想像を遥かに超えたヒョウル〈闇の守り人〉の正体とは果たして?

バルサは無事にカンバルの〈王の槍〉たちから大切な存在を無事に守り抜いて、
〈ルイシャ(青光石)〉贈りの儀式を見届ける事が出来るのだろうか?

等々、物語りが後半を迎えるに連れて予想外の展開が目白押しだが、
バルサの持っている揺るぎない成熟した人間力が物語りの幅を広げるのに役立っていると思う。

素晴らしく深みのある作品です。オススメ致します!!

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【パスタマシーンの幽霊】 川上弘美

パスタマシーンの幽霊パスタマシーンの幽霊
(2010/04/22)
川上 弘美

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川上さんの作品には随所に面白さのツボがある。
読者はそのツボを押す事で心の凝りをほぐされ良い気分になれる。だから、読むのが止められなくなる。

それに、世にも不思議な設定にもちゃんと、この世と繋がる『おへそ』の様な、真実味と言うか、
確かな質感と、実感とが記されているから、安易な作り話としてではなく、

読み応えのある作品として、安心して物語世界に浸れるのである。
短編小説がたっぷりと収録された本作品集でも、短い中にもギュッと濃縮された川上節が味わえる。

読む快楽だ。印象に残った作品と、一言感想を述べてみたいと思う。
いんちき霊感商法の為に河原で石を拾い集めている【染谷さん】が、パンチパーマで、

いんちきな癖に時折『霊媒師の眼』をするというのはありありと想像出来た。
『しあわせな女』の定義に妙に納得してしまった【銀の指輪】

大人びた中学生である一子(いちこ)ちゃんが抱えている悩みの生々しさ【すき・きらい・らーめん】
恋人・隆司の所に何故か置いてあったのは『パスタマシーン』その小さな機械には食いしん坊だった、

隆司のばあちゃんが取り憑いていると言う。さすが表題作だけあって、独り言のような文体が面白かった
【パスタマシーンの幽霊】のっけから不可思議な感じ漂う【ナツツバキ】この作品からは抜き書きしたい。

『片思い。わたしはつぶやいてみる。さびしさが押し寄せてくるけれど、そのさびしさは、
やっぱり最後のところで、てのひらの隙間から、するっともれていってしまう態のものだ。』

心底素晴らしい文章だなと思う。ちょっとしたSF作品の様な設定が読ませる【お別れだね、しっぽ】
この作品集の他の小説にも登場してくるコロボックルのヤマグチさんと、

老婆との心温まるやり取りが清々しい【庭のくちぶえ】女性ばかり四代続いている家の家宝として
大切にされてきたのが、ある特別な御利益をもたらしてくれる富士山の形をしたバックル、

その名も『富士さん』が活躍をする【富士山】はラストのブラックユーモア的などんでん返しが抜群に良かった。
主人公の奏(かなで)が公園で恋人の亮介と口論しあっている時に『女は男をいたぶるな』と言いつつ、

割って入って来た倉橋さん。以来、倉橋さんの風変わりな男女観を聴かされる事となった奏。
奏と倉橋さんの会話が頓珍漢で面白い【やっとこ】墓地の横の小屋に住む潮入さん。

『アレ』や『ナニ』で説明ごとを済ませてしまう人。そんな潮入さんの事を、きんつばや、
ほりごたつでないこたつやナニかと同じくらい好きな主人公の『片思いは甘ざみしい』

という気持ちがナニかしら分かったような気がした【少し曇った朝】肩の力がふっと抜ける作品集です。
快適な読書時間が過ごせることをお約束します。オススメです!

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プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

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【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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