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【ぼくは勉強が出来ない】 山田詠美

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)ぼくは勉強ができない (新潮文庫)
(1996/02)
山田 詠美

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長らく読まず嫌いをして来た作家、山田詠美。なんだかおっかない印象があったからだ。
所が、あらゆる時代の日本文学の魅力的箇所を抜き出した一冊の本を読んで印象がガラリ変わった。

ポップで、ユーモアに溢れ、適度に毒気をも含んだ文章から
何とも例えようのないチャーミングさを感じたのだ。で、代表作を読んでみることにした。実に良かった。

主人公の時田秀美くんは、学校の勉強なんて出来ない。けれども、高校生活の中で、
いわゆる高校生らしい学生生活なんて、ほんの些細な物だったよなぁ、って自分の高校生時分を思い出す。

すると、当時には気づく事の出来なかった事柄の意味がありとあらゆる記憶の中から実感を伴って甦り出し、
作品世界にスイスイと入り込む事が出来たのだった。多分、作者山田詠美さんは、

思春期未明の学生よりも、思春期が明けて久しい僕ら大人に、
挑戦状の様な形でこの本を書き上げたのだと思う。所で、あなたの感性まだ大丈夫?って風に。

はっきり言って時田秀美くんは平均的な学生より遥かに経験値も高いし、独立心も旺盛な高校生だと思う。
だからと言って彼が完全に成熟した大人である訳がない。年相応の悩みや問題に直面したりもする。

真夜中に、年上の恋人桃子さんに逢いたくなり、連絡もせず出向いては散々な目にあったり。
突然の友人の自殺に、日々過ぎ去って行く時間が、如何に個人の頭上を不平等に流れていくか考えたり。

かと思えば世間が『女で一つで子どもを育てる親は苦労をするに決まっている』と
レッテルを貼りたがるのに猛然と反発心を抱いたりする。この反発する気持ちや視点

(例:『おまえはすごい人間だ。認めるよ。その成績の良さは尋常ではない。』<略>
『でも、おまえ、女にもてないだろ』)などは結局、大人になっても一向に成長しないし、

薄まらない、どころか胸の奥、確実な塊になって居座り続けている、僕の場合は。
全く厄介だけど凄い痛快だ。痛快ってのは痛みの向こう側へと乗り移れた感覚がするので

タフな感じがして好ましいのだ。読んでいて何度となくニヤニヤしてしまった、良いぞ時田秀美くん!!。
そう思いながら読み終わると、あとがきで山田詠美さんが実に素晴らしいことを述べておられていて

猛烈に感動した。長くなるがここに書き記して置きたいと思う。
『私の心は、ある時、高校生に戻る。あな時と同じように、自分のつたなさを嫌悪したり、

他愛のないことに感動したりする。そんな時、進歩のない自分に驚くと共に、
人には決して進歩しない領域があるものだと改めて思ったりする。』

『そこで気付くのだが、私はこの本で、決して進歩しない、そして、
進歩しなくても良い領域を書きたかったのだと思う。』

『大人になるとは、進歩することよりも、むしろ進歩させるべきでない領域を知ることだ。』
自分の大人力に自信のない人や、自分探しの旅から疲れて戻った人にこそ読んで欲しい名著です!!。


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【まほろ駅前多田便利軒】 三浦しをん

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
(2009/01/09)
三浦 しをん

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凸凹コンビの活躍する作品は面白い!何故なら彼らの発する摩擦熱から人間の匂いがするからだ。
この作品もそうだった。神奈川県に間違われる東京の外れまほろ市が舞台。主役の多田はタイトル通り、

まほろの駅前で便利屋を営んでいる。舞い込んでくる依頼は様々で、正月に、
自宅前を走っているバスが運行表通りに、間引き運転をせず走っているかを延々見張らされたりもする。

そんな仕事を終わらせたある日の事、多田はバス停で不思議な男と再会を果たす。
男の名前は行天、高校時代は、とにかく言葉を発さないのを周囲に不気味がられてた奴。

もちろん多田と行天は友達なんかじゃなかったけれど、多田は行天が不慮の事故で
小指を切断する傷を負うハメになった時に初めて口にした『痛い』と言う言葉が忘れられないでいた。

幸い指は元通りに縫合されたのだけど…。久しぶりに会った行天は実に口数が多く、
厚かましさまでをも身に付けた、冴えない中年男となっていた。かくして訳在り

中年・凸凹コンビ便利屋稼業がスタートする、のだけれど。依頼主から塾からの迎えを仰せつかった
小学生の少年は、危険なバイトに手を染めてるわ、そのせいで便利屋なのに私立探偵並みに

ヤバい橋を渡らざるを得なくなるわ、のっけからピンチを迎える目に遭うのだ。
おまけに行天は意外にも腕力で物事を片付ける武闘派タイプだったもので、事態は中々穏便に進みはしない。

だが、この行天という男には不思議な愛嬌があり、どこか憎めないのだ。
多田も行天の行状に散々振り回され愚痴をこぼしながらも、彼が依頼主に好かれたり、

案外と役に立つ部分もある事を知るにつけ、内心では行天を必要としている自分が居る事に気付く。
2人の微妙な距離感、互いにベタつく事なく、それでもパートナー関係を保持している所が好きだ。

便利屋の仕事は嫌でも各家庭の様子を覗き見る事になる。
人間模様に対する2人の接し方の違いに面白さを感じた。

そして物語が進むにつれて明らかになる多田と行天の過去の傷。
傷というものは個人の考え方や行動に深い影を落とす。不器用な2人だけに、傷の深さ、

影の長さを隠し持つ意味の大きさが印象的だった。物語を単なる痛快ストーリーから、
グレードアップさせるのに成功している点だと思う。それにしても作者である三浦しをんさんは、

心理描写だけでなく、人間の真実の思いにスポットライトを当てて、
物語世界にリアリティーを持たせるのが上手い。今回も存分に堪能した。

自分の育った家庭に悩んでいる人、秘密に苦しみ続けている人にこそ、
読んで欲しい充実した内容の一冊です!!

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【テクノカットにDCブランド】 みうらじゅん

テクノカットにDCブランドテクノカットにDCブランド
(2010/04/15)
みうら じゅん

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青春の巨匠みうらじゅんさんが、80年代の時代の波をモロに浴びながらも、
必死に日々を乗りきっていく様子が描かれた、甘酸っぱくて、ほんのりビター風味の青春自伝。

冒頭、同伴喫茶では場馴れしてるかの様に装い大失敗し、
神様ボブ・ディランのコンサートにいった夜、念願の童貞喪失に、成功する場面が描かれている。

青くて切ない純情の空回り。いつも脳内にエンドレスで掛かるディランの歌には背中を押されたり、
逆に追い詰められたり。常に心に多くの葛藤を抱えながらも、1日中ダラダラと、

ファミコンのプレイに費やし、迫り来る日常からは目を逸らす日々の繰り返し。
それでもロックしているのか俺?を生きるテーマにしているので長髪は切ることが

出来ないままで時代の変化から大きく溝を開けられている。それだけならおとなしくて良いのだけれど、
美大のサブカル友達と連れ立って深夜の映画館へと潜り込み、

展示されていたゴジラのソフビ人形を2つ盗難して来る始末だし性質が悪く出来ている。
なんでこんなにダメダメな青春を赤裸々に綴っただけの文章が激しく胸を打つのだろうか?

特に、みうらさんが師匠と崇め、事務所に入り浸っていた糸井重里さんからの再三の
『おまえ、髪の毛、切れや』及び『それにおまえ、高円寺を出ろや』との忠告を聞けずに

ついつい高円寺の街をさ迷う【高円寺ゾンビ】な日々を送っていた時に、
糸井師匠から、愛想を尽かされ、破門されてしまう下りには、思わず自分の心臓もギュッと

締め付けられた様な気分になった。自分とは一体誰なのか?自分って一体何?
自問自答を何度となく繰り返しても答など出ない問いの重さに、いつの間にか、

自分探しではなく自分なくしの道を歩き出すみうらさん。
自分の人生は『青春ノイローゼ』だと言い切れる態度に潔さを覚えた。

ずっとコンプレックスを抱いていたロックにもバンドブームの時代、イカ天出場を果たした事で、
敬愛していたバンドのメンバーたちから祝福の電話を貰い、

ようやくコンプレックスを消す事が出来たと述べているし、特筆すべき点として、
自分の伝えたい事を渾身の力で描いたという傑作漫画『アイデン&ティティー 』においては、

初めて師匠糸井重里さんに『やればできるんじゃん』との賛辞の言葉を得ているのだ。
読んでいて思わず鳥肌が立った。『やったね、みうらさん!!』拍手を送りたい位感動した。

この作品には、悩みや不安、葛藤と言った物が『これでもか!』と詰まっている。
でも、内容の全てがみうらさんが実際に感じたであろう本音に溢れているので、不思議な説得力がある。

タイトルの『テクノカットにDCブランド』と言う通り、目に見える変化や、
成長ばかりが求められていた時代に、不器用ながらも真っ正直この上ない、

生き様で通して来た人だからこその魅力であろう。現在、
自分の生き方に迷っている人にこそ読んで欲しい傑作です!

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プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

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【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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