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【ここに消えない会話がある】 山崎ナオコーラ

ここに消えない会話があるここに消えない会話がある
(2009/07/24)
山崎ナオコーラ

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更に面白くなっている!。最初の1ページに並んだ言葉の配列と、
小気味良いリズム感で書かれた文章を読んでそう実感した。独特の甘酸っぱさを含んだ、

これぞナオコーラ節だと思える行間。そんな作家は滅多にいないので嬉しくなってしまう。
この作家さんの一番の良さだと捉えているのが、僕たちが生きている世界の芯は決して空洞なんかじゃない!

そう信じる気持ちが、作品の推進力となっている点だ。今作でも、僕にとって、
至る所に抜き書きしたくなるような表現が散りばめられていた。例として。

『佐々木と広田は同い年なのだが、佐々木は広田に敬語を使わず、広田は佐々木に敬語を使う。』
コミュニケーションのぎこちなさ、繋がりの微妙な匙加減こそ、現代を生きる人の姿や、

関係性を端的に象徴している様に感じるし、何よりリアルな質感を持った表現ではないか!?。
敬語を使う関係か、タメ口にまで近づいた関係なのか、同じ年齢でも距離感が物を言う場面は多々あるのだし、

一つ二つの年齢差がある場合、それは尚更なのだから。舞台となっているのが新聞のラテ欄担当班で、
全員が二十代なのも『敬語』や『距離』を微妙に意識してしまう年代だよなぁ、等と頷きながら読み進めた。

それにしても、登場する各キャラクターの性格や人物造詣が優れているので、
ラテ欄の仕事(十文字で番組の内容が伝わる様な文字列を組んだり)も興味深く読めたし、

ある面で青春小説を読んでいるかの様な良い意味での爽やかさが感じられた。
一応の主人公的なポジションの広田くんのキャラの惚けっぷりが良い!

食事は何時も生の食パンにバターやジャムを塗った物で『栄養っていうのは幻想ですからね』
と広言して憚らないし、新聞の勧誘も断り切れずに、うちには洗剤がたくさんだと言う…。

かなりダメな感じも漂う変人な言動には、ついつい噴き出してしまう様な魅力と、
同じ位純粋な人間味が詰まっていた。彼と同じくらい魅力的なキャラクターなのが岸さん。

彼女の存在は作品のテーマである『会話』に幅と奥行きをもたらしている様に思う。
彼女は常に何か考えている人で、そこら辺が仕事中に等身大の自意識として表れてくる。

そんな風に意識した物事の積み重ねが会話を生み出し、日常へと繋がっているのだなと、
読みながらそう実感出来る会話の力があった。ラテ欄担当の仕事柄、普段の情報は何処から得ているか、

についての広田くんと岸さんの会話に、グッと胸に迫ってくる物があった。
表も裏も含めた情報が直に手に入る場所として、ネットを、2ちゃんねるを見ると言う広田くん。

『知っている人と知らない人、二つの種類の人間がこの世にいるんだったら、
知っている人になりたいじゃないですか』その考えに対して岸さんが口にする

『鬱屈した不満があるから、「自分は大事なことを知らないんじゃないか」って考えちゃうんじゃないですか?
人を傷つけるような、恐ろしい言葉を見ないと世界とつながっている実感がないっていうのは、

セックスでしか愛を感じることができない人と同じで、本質をさけている気がします。
なんとなく不安で、無法地帯を覗きたくなっちゃっているだけなんじゃないですか?』という言葉には、

しばしページを捲る手を止め、自分にとってネットってなんだろう?考え込みました。
広田くんも同じく問い返します。『岸さんは、何で情報を手に入れているんですか?』と。彼女は答えます、

『私は、本<中略>真新しい情報なんて、私の人生では必要ないですよ』
ネットに書評をアップしてる自分のような人間には、確かに2人の会話は消えない物になりそうです。

何故読むか?、何故書くか?、それらのコミュニケーションを取る事で何が得られるか?
これ以外にも、ずっと考えて行きたい会話のやり取りが多く強く印象に残る作品でした。

併録の短編小説『ああ、懐かしの肌色クレヨン』も、世界が体裁を整える為、
肌色とは言ってはいけませんって風になった等の例を挙げながら、

人と人とが分かりあう為のヒントを全身で考える女の子が登場してきて素晴らしかったです!
装丁もキュートだし、大・大・オススメ致します!!

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ジャンル : 小説・文学

【掏摸】 中村文則 ~絶対的な悪と対決する天才スリ師の物語~

掏摸掏摸
(2009/10/10)
中村 文則

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とにかく凄いリアルを感じると共に、完璧な展開の小説だと思った。
スリ行為を完遂する為に、通常スリは実行する者、受け取り隠す者、見張りをする者の3人でチームを組む。

主人公西村もやはり、自分を上回る天才スリ師石川と、見張り役の男と、3人でのチームを組み、
受け取り役をして来たらしい。と、言うのも現在の彼は、単独のスリ師として、

身の回りに居る裕福な身なりの者狙いで犯行を繰り返しているので、過去が判然としないのだ。
が、ある日街で以前、見張り役をしていた男につけ狙われてしまう。

再会した男の名は立花、今はヤクザで、株のインサイダー取り引きをして生計を立てている野心家だ。
立花から語られる西村の過去。それは石川も含む3人がヤクザをもしのぐノウハウを持つ、

闇の完全犯罪組織の仕事を任されたという重く暗い事実だ。勿論西村が自ら望んで引き受けた訳でなく、
事件を仕切っていた木崎という男の気紛れ、有無を謂わさぬ悪の引力に、巻き込まれての物だったらしい。

『東京に戻って来たと言うのは、あの男の監視の目も光ってるという事だ』
そんな内容の立花からの忠告を受けながらも、西村はひたすら東京で仕事を続ける。

それは居なくなった石川への意地もあるのだろうか!?多くの謎を秘めた男の毎日はとても孤独でストイックだ。
だが、ある日出くわした、危なっかしい万引き犯の親子に、嘗ての自分の姿を見たのか、

西村は自分の持てる技術を子供相手に、教え伝えようとする。この2人の関係性に僕は、
どうしても罪に手を染めざるを得ない人間の悲哀を感じた。そしてこの悲哀を利用して

自らの犯罪ゲームに利用して来る巨悪木崎の、他人の運命を支配して笑う姿にとてもグロテスクな物を感じた。
子供を救うために、「今までに教えた万引きやスリの技術は全て忘れるんだ、

お前は、もうこれ以上、人生を間違えた大人に巻き込まれる必要はない」と諭し、
施設に入れる道を教える西村。単独で実行するのはほぼ不可能な仕事を1人黙々と実行する彼は群れない悪人で、

高見の見物を決め込む木崎は、巨大な組織に守られた大悪党の様な気がした。一寸の虫にも五分の魂と言うが、
この巨悪からの依頼に西村が果たしてどんな落とし前を着けるのか?

そこら辺をじっくり味わって読んで頂きたい。人間にとって、罪とは一体何になるのか、
グイグイと読み手の体内に侵食してくる様な文体にビリビリ痺れつつ体感して下さい。

様々な角度から、人間の存在そのものに迫ってくる刺激的な作品です!!

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【人生を歩け!】 町田康 いしいしんじ ~ユルさ。時として、鋭さ~

人生を歩け!人生を歩け!
(2006/03/15)
町田 康いしい しんじ

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前作【人生を救え】に続く第2段散歩対談。基本的に2人ともに、ユル~くボケていて、
ボケの輪唱の様に冗長な世界が展開される。そして2人はともに、抜群の観察眼の持ち主だから、

ツッコミ所とみるや、間髪を入れず的確に鋭いツッコミで物事に切り込みを入れていく。
まるで居合い抜きの達人同士が悠然と散歩を楽しんでいる、そんな風情さえ感じられる本なのである。

何気ない会話のやり取りが、いつしか、互いの文学の持つ語り口調に変わっていくのが、
読んでいて抜群に面白い。例えばいしいさん。トイレットペーパーの事を

『ケツ拭き紙』とか『しり拭き紙』等と言っては町田さんに
『わざわざそんなむずかしい言い方せんでも。ははは』と苦笑されている始末だし。

町田さんにしてもぼそぼそと上京後、最初に暮らした街、成増のトーンについて、
『ようするに山なんです』と語り、いしいさんも『うーん、なるほどね。』的な相槌を打っている。

たまらない2人の絶妙の呼吸と間合い、他のどの組み合わせでも、中々こうはならなかったろうと思うと、
ついつい、口許から笑いが漏れる。街の他愛ない悪戯のラクガキすらも2人の舌鋒にかかると

『俺はこの街に傷を残したい!ははは。そんなら穴掘っておけって』ボロッカス、
見事なまでに糞味噌に言われてしまっている。文学を操る猛獣使いは自身もやはり猛獣だった。

定住しても決して一つ所に収まらないタイプのヤバい人間だけが持ち得る毒性と野性味を街に振り撒いて歩く。
だから、と言う訳でもなかろうに、町田さんが昔住んでいたはずのアパートがあった場所が、

まさに取り壊しの真っ最中だったのには爆笑してしまいました。強い引きを持ってる人生を、
グイグイ歩きのめして来たんだろうなぁ町田さんは、と。そうじゃなきゃ、二十年ぶりにを訪れてみたら、

前に住んでた家が削られてる現場に辿り着きゃしないだろうし。成増での暮らしに、
人格が変わるくらい、シリアスな違和感を感じていたと当時を述懐する町田さん。生活費というよりも、

その場、その場を生き抜く為に、時速二十キロしか出ないスーパーカブに跨がって、
浦和の部品工場まで出掛けていき、延々気が狂いそうになる作業に従事してたという話。

嫌々だったんだけど、アパートの住人との原始的ワーク・シェアリングの法則が成り立っていた為に
自分だけサボる訳にも行かなかったって点に生々しい町田康イズムを感じました。

いしいさんもいしいさんで、高一の頃、古本屋の棚をぐしゃぐしゃにして
店主のおっさんにぶん殴られたゲンコツの、その痛みによって普通の本屋と古本屋のちがいを

思い知ったという辺りにいしいさんならでは、な人生の一捻りを感じます。図書館と2人の関係にしても、
両者とも図書館に対し、妙なフィルター越しに眺めている物だから、実際に利用をし始めたのが、

大人になって上京した後なのだそうです!読書家の雰囲気を漂わせている作家なだけに、
ちょっと意外な気がしました。2人の街歩きは続きます。上石神井の居酒屋にて自動改札機は

スムーズに流れていくものだと信じている自分の愚かさを例に、人生の至るところにある、
信じることの愚かさについて熱く議論しあう2人に、赤々とした血の流れる、

生の文学の息遣いを感じました。いしいさんが現在住んでいる三崎の漁港では魚介類についての話題から、
『大阪の人はタコを多食するから、どうしても、自分の存在意義がタコと結びつきがちになる。』

大阪人の実存について真剣に語っている所に強烈に惹かれました。2人の作家が歩き下ろし、
語り下ろした『人生観』に耳を傾けて下さい。きっとあなたの生きる世界に大きな変化をもたらす事でしょう!!

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【仏果を得ず】 三浦しをん ~いろはにほへとちりぬるを~

仏果を得ず仏果を得ず
(2007/11)
三浦 しをん

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作品毎に文体から作風まで変えてくる驚異の作家三浦しをんさんが、
伝統芸能【文楽】の世界に挑んだ!と聞き、強い関心を持った本。なんでこうも上手に、

ヘンテコな人ばかり生み出せるのだろう!主人公健太夫(たけるたゆう)の、相三味線、
つまりはパートナーとして選ばれた三味線の兎一郎兄さん。兎にも角にも、珍妙な性格の男なのである。

何せ健とは十年、ほとんど毎日顔を合わせているのに、挨拶以外は一度として話した事がないのだ。
いつもふらふらと楽屋からいなくなってしまい楽屋の食堂で、

五つぐらい並べたプリンをうまそうに食べているのだから。妙な噂も、枚挙にいとまがないし…。
それに頑固さも天下一品で三味線や太夫の長老連が口を酸っぱくして、健大夫と組む事を促しても、

自分が納得するまで、何編でも、真っ向から堂々と反論してみせるだけあって、巧さだけでなく、
演目への完璧な解釈に基づいた演奏力をも、持ち合わせた凄腕の奏者なのである。それに付け加えて、

本番まで一月を切っても、本番とは丸で関係ない、基礎中の基礎の演目の解釈を巡って、
健の認識を確かめては、逐一その作品を稽古させる。怒髪天を衝いたのが、

健の師匠かつ文楽の人間国宝である笹本銀太夫。齢八十を超えて、益々芸の道を真っ直ぐに歩いている所か、
「遊びは芸の肥やしじゃ」と広言して憚らない。

そんな奔放な師匠の思惑を外した兎一郎がした事を我慢出来る訳がない!健の頭を扇子で叩きに叩きまくる。
理由は「お前は俺の弟子だからや!」 だそうである。世間並の常識なんてものは通用しない、

それが芸の世界である。主役の健にしても一風変わっている。東京から文楽やりたさに、
大阪まで出て来てから十年以上、でもまだぺーぺーの身分なので、

友人からラブ・ホテルの一室を友情特価の激安家賃で借り、
いくら義太夫を唸っても大丈夫な環境下に住み暮らしている。

けれどもこの事は、健がボランティア活動として続けている小学校での義太夫教室で、
一番弟子を自認してくれている、ミラちゃんには絶対の秘密にしてある。

そんな芸道バカ一代な健大夫だからか、兎一郎兄さんも次第に心を開き始め、
自分の芸論を話し出すまでになる。その際語られる、

「ならず者」と「色気」についての考察は一読の価値ありです。なるほどなぁ、と思いました。
しかし、健の「色」となるオカダマチは大夫の目の前に、唐突に道を開いて、

あれよあれよと言う間に、健は飲み込まれてしまいます。
が、カタカナだったマチさんとの間柄が真智さんに変わる頃、

健の大夫としての芸も飛躍的に向上していきます。文楽の有名な演目や内容も知る事が出来るし、
自分なりの語りや解釈を探して奮闘する健の姿から、読んでいると直接生で文楽を聴いてみたくなりました。

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プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

皆様、お友達になって下さいね。お声かけてくれたら嬉しいです。
初めてこのブログを読まれる方は、こちらから読まれてくださいね。

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【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

◎このブログ・私たちは著作権を放棄しておりません◎

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