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【ハミザベス】 栗田有起

ハミザベスハミザベス
(2003/01/06)
栗田 有起

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久しぶりの図書館にて手に取った栗田有起の作品は彼女のデビュー作だった。
デビュー時から変わらず身の回りに巻き起こる事件とも呼ぶべき変化を

淡々と受け止める様子が良いなと感じた。なので、読んでいて時々
『この世の中の何処かに実際にこういう人達が居て、こういう日常を過ごしているかも知れない』

そう思った。表題作【ハミザベス】主人公は母親と二人暮らしの娘まちる。
ある日彼女の元に『母親梅子からずっと前に死んだと言われて来た父』平田が最近になって亡くなり、

二人に遺産と不動産が遺されていましたとの連絡が入る。
電話で指定された時刻に待ち合わせ場所に現れたのは、花野あかつきと名乗る

『手のモデル』を生業としている三十歳そこそこの女性だった。
亡くなった平田とは五年の間生活を共にし、いってみれば

人生という名の戦場の師匠と弟子とでも呼ぶべき間柄だったと言う。
彼女としては、平田の最後の望み、なんとしてもかなえてあげたいと願っている。

その余りに過剰な情熱に押されてまちるは遺産を受け取ることにする。
それを契機に次第、次第に仲良くなる、まちると、あかつき。ある日の事。

あかつきに預かって欲しいものがあると告げられたまちる。布に包まれた小箱の中身はハムスター。
あかつきがこれから住み暮らす所は研究施設なので、連れてはいけないそうだ。

早速マンションへ連れ帰り『ハミザベス』と命名するまちる。
そこからハミザベスの観察を熱心に行い始めてから、まちる自身も自分の生活環境や

人間関係なども含め真剣に考え始めるのが面白い。
何せ母親梅子の性格や言動が強烈にリアルなので母娘の会話が、ありありと目に浮かぶと言うか…。

デパートの食堂で梅子が鉢合わせた『苺おばさん』とのやり取りは爆笑必至です。
人間の細やかな日々の愛しさを書いた物語を堪能して下さい!!。年の差が七つで、

それぞれ、おたがいの七年前、七年後の姿に見える程にそっくりな【豆姉妹】
つつましく暮らしていた姉妹の日常に変化の時が訪れる。肛門科の看護婦をしていた姉が唐突に

『私、看護婦辞めて、SMの女王様になるよ』と宣言したのだ。
理由は高校生の妹の進学用の資金および結婚資金を貯める為というもの。

そんな姉に感謝しつつも、内心では、SM クラブ『ヴィーナス』
での姉の変化に厳しく突っ込みをいれる妹。(この丸顔に、真っ赤な口紅だってさ。)等々…。

この妹の感覚がとにかく可笑しい。ま、妹は十六歳なので、ありとあらゆる物事に思い悩むのだが、
考え方が十六歳にしては、突出して変わっているのだ。孔子の十五にして学にこころざす、

三十にして立つを例にあ出して、でも私は、彼みたいに、偉くない。
同じ人間どうしじゃないかといえばそうだけど、彼と私は、同等の人間ではない。

私は今、どのあたりにいるのだろう。哲学的だが、とことんシンプルに自分を解釈出来るのが、
実に素晴らしいと思う。そして彼女は悩んだ末に、とある博打的な行動に打って出る。

行動の結果…。物静かでいて、ドラマチックなラストシーンに拍手を送りたい傑作です!!

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【お縫い子テルミー】 栗田有起 ~素晴らしくエッジの効いた美しい短編集~

お縫い子テルミー (集英社文庫)お縫い子テルミー (集英社文庫)
(2006/06)
栗田 有起

商品詳細を見る


栗田さんの小説を読むとホッとする。「人生って捨てたもんじゃないなぁ…」と思えて来るのだ。
それは多分、栗田作品に登場する人達が皆、如何なる状況下に置かれようとも、

結構タフに自分の運命を受け止め、受け入れた上で、前向きに進もうとするからではないだろうか。
この作品の主人公照美も、やはり、しなやかな感受性を持って、

場面場面ごとに必要な選択が出来る少女だ。何も持たない若い少女がひとりで生きていこうと
思ったら、なんだってある街、新宿歌舞伎町しかない!という母の言葉にしたがって、

十五で島を離れ東京に辿り着いた照美。そこら辺の描写が、とてもリアルだから、
ある意味特殊な、主人公が「お縫い子」と言う設定の物語にも、

感情移入がしやすかったのではないかと思う。彼女が最初に勤めたのが
キャバクラのような店だというのも、又。接客風景が丸っきりキャバクラのそれであるのに、

唐突に、日に三回も、女装歌手、「シナイちゃん」の歌謡ショーが挟まれる店。
うわぁ、いかがわしくて、何だかとっても、歌舞伎町っぽいぞ…。

それに、よくよく考えたら、新宿に在るからこそ、しっくりくるんじゃないかな。
何処にでもありそうなのに、その場所にいる全員の背中から色濃く「ここでしか生きてけません」

そんな空気が作品中に揺れている。大都会独特の。
照美が惚れたシナイちゃんが歌以外を愛することが不可能な人で、

歌一筋に一目惚れを続けるしか出来ない位、照美も布と、裁縫を武器に生きるしかない。
照美が初めて「一針入魂・お縫い子テルミー」として自立して行く様、オーダーメイドで、

世界に一つしかない、その人の為だけを思って布を選び、裁ち鋏を入れ、一針ずつ、
世界に一着だけの洋服に仕上げて行く描写が、何より美しい。決して相容れることはない、

お縫い子テルミーと、歌い手シナイちゃん、二人それぞれの一途な恋心が昇華し、
同士として固い友情で結ばれていく。ある意味ハード・ボイルドを思わせると同時に、

新たなスタートをも感じさせる希望に溢れた小説です。
個人的には脇役である依頼主松本さんの、少しとぼけた人物造詣が、作品に、

奥行きと味わいを出していて、良いなと感じました。
併録の【ABARE・DAICO】では、小学生の主人公誠二の視点から視た世界についてが描かれている。

彼が内心ライバル視をしているハンサムな同級生水尾君に負けたくない一心で努力し続ける下り
( 身の周りにいる人の顔と名前を全員分、無理して覚えようとしたり)非常に共感した。

そうなのだ。小学生の頃と言うのは、
「○ ○、すげえ」って風に尊敬を集めたかったりするものなのだ。

で、彼は数多の小学生同様夏休みにちょっとした冒険(含む・背伸び)をする。
彼、小松誠二君の場合はアルバイト。しかも、このアルバイト、

一筋縄じゃ行かない仕事内容だった…。
翻弄される少年の体験するハラハラ・ドキドキした感じに、こちらも笑ったり、

驚いたり、一緒になって不安を覚えたり。すっかり夏の日の少年の気分になる物語はやはり、
他の児童文学同様、爽快な読了感を残してくれたのだった!子どもの頃に感じた、

よその大人を知ることについて、その時に全身に覚えた物思いについての
アレコレがとっても良く書けていて感動しました!!

あ、英語のタイトルの意味に爆笑するのも、忘れないで下さいね。
まさに、一冊で二度美味しい読み応え満点な短編集で、

今年読んだ短編集のベスト1になりそうな気配です、大お勧めいたします。

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【オテル モル】 栗田有起

オテルモル (集英社文庫 く 21-3)オテルモル (集英社文庫 く 21-3)
(2008/06)
栗田 有起

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とっても良い気分で読み通す事が出来た。この小説は優しい。新しい夜明け、すっきりとした目覚め。
人生は何度でもスタート地点に立つことが出来るんだって前向きなメッセージが込められている。

主人公希里がヘビーで切な過ぎる家庭の現実から逃がれる為、探し当てた仕事。
ホテルのフロント係。【オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン】。地下に建てられたホテルの名だ。

【ぐっすりもぐら】ではスタッフもお客様も一致団結して、安眠、快夢をつかまえようとしている。
みんなでおなじものを求めてるという一体感が大事。

オテルでは夢と現実が、意識と無意識が、個人と全体が、
同じひとつの時間の流れの中につながっている。

私生活と社会生活だって、ばらばらに存在している訳じゃない。

希里はオテルの外から内に、内から外に移動を繰り返す度に、変化し成長し続けて行く。
希里の呼吸とオテルの呼吸はクロスオーバーして。

最初は規則一点張りの厳しい気配が漂ってるスタッフ外山さんも、
臨機応変で柔軟な姿勢を見せ始め出したり。

最後、これから全てが再びスタートするってハッピーさが描かれているのに、光を感じました!
村上春樹さんの【アフターダーク】と合わせて読んで欲しい、大切な事が書かれた本。オススメです!!

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花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

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【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

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作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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