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【ウェルカム・ホーム!】 鷺沢萠

ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)
(2006/08)
鷺沢 萠

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流行作家と呼ばれる人の作品は往々にして、ある世代の「青春」を
鮮やかに切り取った内容である事が多いように思う。

村上春樹さんの【風の歌を聴け】しかり、吉本ばななさんの【キッチン】しかり。
鷺沢さんも又、80年代末から、90年代初頭に掛け、数々の傑作青春小説を発表している。

この年代は正に『バブル』が膨らみ、弾ける時期と符合しているので、
彼女の書く文章には、何時でも独特の熱と、危うい程に鋭く冷静な感性が同居していて、

大いに共感を覚えたのだった。良くも悪くもある時代の、
ある空気を纏った作家の1人だと言えるだろう。彼女の遺作とでも呼ぶべきこの作品にも、

バブルに、その後の人生を決定付けられた男女が登場して来る。
親から引き継いだ洋食レストランを、バブリーな感覚で、テキトーに経営した結果、

泡が弾け飛んだ後、全てを失い、実の両親からも「顔も見たくない」ということばを投げつけられた、
三十代バツイチ勘当息子、更にホームレスになってしまった毅(たけし)。

そんな毅に救いの手を差し伸べたのが、毅の学生時代からの親友で、
決してテキトーな人生を送って来た訳ではないのに、病気の妻に先立たれてしまい、

幼子憲広を抱え途方にくれていた英弘。渡りに舟で、シェフならぬ、シュフとして、
英弘の家に転がり込んだ毅。それからは幼い憲広を育てたり、シュフとして、とにかく、

ひたすら真剣に日々を過ごして来た。けれど、そんなある日、偶然の事故により、
読んでしまった憲広の作文。そこに書かれてあった自分の普段の姿を見つけ、毅は、

代理父親としての自分や、自分の中にも、『男の沽券』を気にしている部分があるのを
再発見してしまい、悩み始めるのだった…。端からみれば、

本当に細やかな悩みの様に思われる点を、1人ウジウジと考え続ける毅の姿と、
アッケラカンと「俺はお前意外の人間に憲を任せたくないもん!」と

言ってのける英弘との態度や考え方の違いに、「あぁ、こういうのもありだなぁ」って
不思議に穏やかな気分になれました。ラストの方で、毅が導き出した結論、

「自分が向いてない分野のことは、向いてるヒトに任せる。その代わり、
自分は自分が向いてる分野で役に立つ。それでいいんじゃないっすかね」って考え方には、

血の繋がりだけじゃない、新しい家族=ファミリーの姿に、思い切り、大きな声で、
エールを贈りたくたりました!!同時収録の『児島律子のウェルカム・ホーム』にも、

本当に家族の在り方について、色々と考えさせられます。夫の身勝手な借金と浮気によって、
離婚した児島さん。それによって、自分が手塩にかけて育ててきた義娘聖奈と

引き離されてしまいます。夫の家庭では、嫁は所詮他人、孫娘も結局は嫁ぐから他人という、
些か封建的とも言える考え方が根強く残っています。

娘にとっては、父親、母親で家族でも、夫と妻って最終的に家族たり得ないのかなぁ…?
なんて考えてしまいました。けれど児島さんの場合、産みの親より、

育ての親として可愛がってきた事実があるから。やがて、その事実が、
物語を大きく動かすのだから、家族の結びつき方、否、人と人との結び付きって不思議だなぁ、と

思いました。ある意味血よりも濃く、深い、情愛の絆を感じるラストは感涙物です。
『おかえりなさい』と迎え入れてくれる人や場所の大切さを痛感する、温かさに充ちた本です!!

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【葉桜の日】 鷺沢萠

葉桜の日 (新潮文庫)葉桜の日 (新潮文庫)
(1993/10)
鷺沢 萠

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2004年に、突然この世から居なくなってしまった作家、鷺沢萠。
彼女の書く小説には、何処となく居心地悪そうで、自分と世界との距離の取り方に悩んでる、
そんな不器用で心優しい人が多く登場して来て好きだった。

彼女の作品を初めて知ったのは学生の頃。試験勉強の合間に眠気覚ましの為につけた
ラジオから聴こえて来たラジオドラマが、この本の中に収録されている

【果実の舟を川に流して】だった。主人公ケンケンは家庭の事情から大学を中退し自分探しの旅へ。

帰国後プラプラしていた所を、パパイヤボートと言うバーのニューハーフのママさんに拾われ
働き始める。国籍も年齢もバラバラな常連の面々。夜な夜な繰り広げられる人間模様。
見続ける内に冷めていたケンケンも徐々に変わり出す。

偶然店に入って来た学生時代の仲間と再会してしまった事により、
過去の自分を遥か遠い昔に感じているのに気付いたり。クライマックス、店界隈の人間たちには、
伝説の男として語られていたジロさんの登場と、それによって語られるママの意外な過去。
二人の男の間に存在する友情と絆の強さが、とにかく切なかった。

【葉桜の日】と共通して描かれているのは、現在を生きようとする時どんな風に
過去と向き合えば良いのか。人は何を心の支えとして日々を生きているのか、という点。
人生に迷う時にオススメの一冊です。

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≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

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福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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