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【草祭】 恒川光太郎

草祭草祭
(2008/11)
恒川 光太郎

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背筋が、ぞわり!と泡立つ。けれど快感なり。日本人が民俗学的にも、
DNAの中にも有していると思われる『畏さ』に訴え掛けてくる恒川光太郎の、独特の『和』の世界。

読んでいて、凄みが心臓を直撃してくる感じさえする時がある。
なのに、一旦読み始めると、止められない、止まらない感が生ずるのは何でなのだろう?

この作家にしか書けない視点が確実にあるから中毒になってしまうのだろうが…。
のっけから、興奮気味に作者を紹介してしまったが、もう本当に、一度体験して下さい、お願い致します。

そう懇願したくなる程の作家なのである。それでは、いよいよ、内容と感想の紹介に移りたいと思う。
物語は美奥(びおく)の町を舞台にした短編が、連作となって記されている。

一作品目【けものはら】ある日突然、行方知れずになった親友を探そうとして、
自分達が小学生だった頃に迷い子になって足を踏み入れてしまった、

団地の奥にひっそり存在した怪しげな野原の事を思い出した主人公。
そこは、実に禍々しい場所で、じっとしているだけでも、魔に魅入られそうな空間であるにも関わらず、

探し当てた主人公の親友は、ずぶずぶに、野原の呪力に運命を支配されてしまっていた…。
美奥の町の図書館の古い文献にも、伝説的逸話が記されている【けものはら】。

果たして主人公と親友の身の上には、どの様な結末が用意されているのだろうか?
二作品目【屋根猩猩(しょうじょう)】美奥の更に奥にある尾根崎地区には、屋根神様として、

猩猩像をのっけるしきたりが、今も息づいている。お酒が好きで、いたずら好きな妖怪。
昔、屋根の上で宴会をしていて、人間ともよく取引をしたらしい。そんな民間伝承の主は実在していた!

屋根神を名乗り、何処か得体の知れない所がある少年タカヒロと遭遇してしまった、主人公の美和。
度々美和の眼前に現れては不可解とも取れる言動を繰り返します。

美和も、謎だらけのタカヒロに付き合わされる格好で彼が持つ神通力の様な物を知る羽目になります。
そうしてタカヒロは、クラスメイトから嫌がらせを受けている美和への解決方法として、ある、

とんでもない手段を用いるのですが、身の毛がよだつとは、こういう現象を言うのであろうな、と。
三作品目【くさのゆめがたり】山奥に庵を結び住み暮らす叔父の元、自然界の中を生き抜いて来た少年テンの、

半生を描いた短編小説。ラストに近づくに連れて切なさが加速していき圧巻。四作品目【天化の宿】。
父親の歪んだ価値観に支配されている家を飛び出したゆうか。いつしかクトキ=苦解きの旅の旅人と見なされ、

旅の宿で苦解きの為のゲーム『天化』をするよう言われる。世界そのものを模したかのようなゲームは、
対局する度ごとに自分の人生を解いて行きます。ゆうかちゃんは最終的にどうなってしまうのでしょうか?

遂に最後を飾る五作品目【朝の朧町】です。主人公香奈枝は、ある悲しい事件に巻き込まれた女性。
彼女が居候させてもらっている長船さんは、過去も現在も同時に存在する幻の町を、

森の奥に造り、その場所の創造者として、現実と幻とを運営するような存在だったのだが、
惜しくも病気により亡くなってしまう。残された香奈枝は、どのようにして現実へと帰還出来るのか?

この作品を終わりに持ってくる恒川さんの審美眼の確かさを感じた。
幽玄なる世界の奥深さに震えて下さい!本当に素晴らしい本です。

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【南の子供が夜いくところ】 恒川光太郎

南の子供が夜いくところ南の子供が夜いくところ
(2010/02/27)
恒川 光太郎

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子供の頃、世界はとても不安定で、夜は果てしなく深く怖いものだった。
頼りに出来る大人と言えば、まずは親で、自分の人生など、親の機嫌一つでどうとでも転がされる、

それくらいにぼんやりとしたものだった。もっと有り体に告白すれば、自分は何時まで、
この大人の保護下に置いてもらえるのか?何らかの心変わりで置き去りにされやしないか?

常に頭の中はそんな風な最悪のシナリオを描くのだった。恒川さんの作品を読むと、
子供時代の怯えから来る脂汗の感触が蘇る。それ以上に、子供でも、

良い保護者に巡りあえれば充分に力強くやっていけることが分かってくる。
今回の作品には、借金苦で無理心中を考えている身勝手な親から、間一髪、

生き延びた息子のタカシと、不思議な力を発揮する『自称百二十歳』のユナさんとが連作短編で登場してくる。
南の果ての島『トロンバス島』』に連れてこられたものの、誘拐されたのではないか?

などと子供らしく迷っているタカシ。満月の夜に、悪夢に迷い込んでしまう。そんな時南の島の子供は、
悪い夢をとる力があるとされるおばさんの家に連れて行かれる。

夢の中をたゆたう様子に幸せが溢れている【南の子供が夜いくところ】
美しく優しい物語に心が洗われた様な気がする。ユナさんの生まれれた神話の息づく島。

平和だったはずの島に生じた悲劇。百二十歳の長寿をユナさんが持つに至ったきっかけには
考えさせられる物があります。【紫焔樹の島】百二十年を、独りで越えてきたであろうユナさんの孤独、

歳月が彼女に与えたであろうもの…。次の話【十字路のピンクの廟】も、
島の子供が、ご先祖様のお墓参りの夜に体験したであろう神秘的な出来事が発端となっている話。

問題になっているピンクの廟に掛けられている呪いの解き方、心持ちが温かくて良いなと思った。
故郷の島の危機を救うべくして、独り、大海原の遥か彼方に住むと言う伝説がある、

『大海蛇の一族』に会う為の航海に乗り出したシシマデウさんの冒険譚は、
何時しか現在のトロンバス島に暮らす、タカシやユナさんと結び付いて…。

太古の昔から現代まで。男の旅立ちに理由などないのだなぁ、そう思わせるラストが胸に響きました。
【雲の眠る海】恒川さんの紡ぎ出す物語の視線の先には、人間が、普段隠している

欺瞞や欲望を鋭く切り裂くナイフのような怖さが隠されている【蛸漁師】長い眠りから目覚めた男、
上半身は土の上、その下はすっぽり地面に埋まっている。彼の過去に何があったというのか?

【まどろみのティユルさん】タカシに会いにきた父親が、島の魔法が掛かった地域に迷い込んで、
悪戦苦闘する様子。【夜の果樹園】もし自分が、自分の意思とは関係なく、

人間以外の生き物になってしまったとしたら…。恒川流ホラーの真骨頂が味わえる佳作です。
最後まで一貫して、魔法に彩られた作品集になっています。

新感覚のファンタジー・ホラーを是非、ご賞味下さいませ!!

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【竜が最後に帰る場所】 恒川光太郎

竜が最後に帰る場所竜が最後に帰る場所
(2010/09/17)
恒川 光太郎

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2010年に初めて読んだ作家さん達の中で断トツのインパクトを受けた作品、
それが、恒川光太郎さんの【夜市】でした。独創的で凛としていながら、

根底には和風な怪異の世界へと通ずる鍵の様なものがキッチリと描きこまれていました。
処女作にして、既に高い完成度を読み手に感じさせた著者の最新作は短、中編5作品からなるオムニバス作品。

順番に読み進めて行こうと思います。まず巻頭を飾る作品は【風を放つ】
バイト先の先輩だった人の彼女と思われる女性から、主人公の青年に、ある夜、突然にかかって来た携帯。

最初は話が盛り上がり、意気投合したものの、冷静になった翌朝、青年は先輩に全てを打ち明けます。
それから、彼女の恐ろしい執着が発揮され…。と、言うと如何にもなホラーの導入部だと思われるでしょうが、

そこら辺は作者の実力の見せ所!彼女のしつこさに慣れた時、気紛れで携帯に出た途端、
彼は彼女の口から、呪いを晴らす風が閉じ込められているという不思議な小瓶の存在を告げられます。

小瓶の中を吹く風、舞い散る砂埃。確かに想像すると、不吉なイメージが拡がり、
ザラリとした恐怖を感じるではありませんか!? 日常の、直ぐ隣に、地続きでポンと

異界の扉が口を開けているのでは、そう思わせる物語力に痺れました。次に収録されている中編小説が
【迷走のオルネラ】この作品、のっけから神話の如く、絶対的な悪に染まった男が登場します。

一体この先、物語はどの様に展開するのか、読者は手に汗握りながらページをめくる事となるでしょう。
数々の問題提起がなされ、終わりまで一息に読まされました!!

予想を遥かに上回る深みのある結末を味わって震えて下さい。さて次なる作品は、短編小説【夜行の冬】です。
真冬の、『しん』と静まり返った夜更け、戸外から聴こえてくる気配に耳を澄ました経験はありませんか?

でも、簡単に戸外に出て、物音の在処を確かめたり、物音と同化して夜行の列に加わってはいけませんよ!!
大変な目に逢うことになりますから…。日本に古来より伝わる怪談に現代風な解釈を施し、

ごく自然にホラーの世界と現実とを融合させ楽しませてくれる恒川光太郎ワールドの
真髄に触れた様な思いになったです。作品集は後半に突入【鸚鵡幻想曲】を堪能して下さいませ。

二十羽の鸚鵡を巡る幻想浪漫譚。よくぞ、ここまで美しく、空想力の翼を広げたストーリーを書き上げ、
見事に着地させたものだなぁ、感動しました。さぁ、物語はいよいよ最終章へ!

【ゴロンド】を楽しみましょう!!神秘的な誕生の仕方をした、主人公ゴロンド。
彼が成長をするに連れ、体験し身に付けていく物の美しさ、気高さ。まさに伝説を生きる幻獣、

竜の誇りを描いた作品だと思います。作品集の表題の通り、善悪や美醜等の概念を通過して、
全ての生き物が『最後に帰る場所』そんな場所を、実に精巧に練り上げた

アイデアで書き上げてみせた傑作だと思います。とても読みやすい文体でもありますし、
是非沢山の皆さんに手に取って欲しい大オススメの一冊です!!

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【夜市】 恒川光太郎 ~人外の世界の理に触れる本~

夜市 (角川ホラー文庫)夜市 (角川ホラー文庫)
(2008/05/24)
恒川 光太郎

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今宵は夜市が開かれる。そんな惹句に誘われて、夜の闇広がる森の中、
一歩足を踏み入れたなら、そこは、人外の者共蠢く、もう1つの世界だった。

欲しい物が何だって手に入る、代わりに何かを買うまでは絶対に元の世界には帰れない。
それが夜市のルール。幼い頃、偶然にも夜市に紛れ込んでしまった祐司が、

大学生となった現在必死になって買おうと探している物とは一体何なのか?
それに、幼かった彼は、どのようにして、買い物を成立させ夜市から元の世界へと帰還出来たのか?

この美しくも儚い物語には、欲望が生み出す残酷な悲劇と、それ故に欲望や煩悩を統制し、
自分自身の力で希望の道を選択、獲得していく事がどれほど尊い事なのかが教えとして説かれている。

ホラーと言うよりは、むしろ説話や怪談話としての色合いが強く印象として残った。
特にラストは全く予想外の展開で、それだけに切ない程に透き通っており、胸に物語の余韻が残った。

眼前に闇の中仄かに夜市が浮かび上がって来る情景描写力にも、唸らせられた。
人間界とは別の理で、確かに存在している異世界を描いている併録作品、【風の古道】も良かった。

七歳の春、花見に行った公園で、迷子になってしまった私は、親切そうなおばさんから、
家までの帰り道を教わる。「夜になったらお化けが出る道だし、寄り道しないで行くんだよ。」

と告げられたその道は、未舗装の田舎道で、一風変わっていた。道の両脇に家が並んでいるのだが、
どの家々も一軒残らず、この未舗装道に玄関を向けていないのだ。それどころか、

電信柱も、郵便ポストもないし、駐車場もなかったのだ。この時味わった秘密体験は、
自分だけの秘密として守らなくてはならない、もしも守らなければ多分…?本能的な直感として、

「道」について他人に口外するときっと、良くない事が起こるだろう。
そんな理由で記憶の外に置いていたタブー、けれども十二歳の夏休みに親友と心霊話になり、

うっかり口を滑らせてしまう。当然、友達は、「そんな道が本当にあるなら連れて行けよ!」そそのかす。
こうして私と友人のカズキは、私が最初に件の道から抜け出た所に行き、

反対側の出口から引き返そうと計画するのだが…。歩いても歩いても、それらしい場所には着けない。
弱り果てていた二人の前に、謎の青年レンが現れる。異世界には異世界の理が有り、

嘗て存在した入口は既に閉鎖された後との事だ。更に困り果てる二人は、一か八か、
この放浪を続ける青年と異界を旅することに決める。その過程で次第、

次第に明らかになっていくレンの事情。どうしてお化けでなく、妖怪でもない、
生身の人間であるレンは異界から外の人間界に出て行けないのか?

永久放浪者として彷徨い続ける運命にあるのは何故なのか?
理由の一つずつが、とてもしっかり描かれていて、この世と別に存在する世界のルールに

美しい説得力を持たせるのに成功している。特にラストへと至る展開が、
両作品ともに素晴らしく美しいので、是非、どっぷり物語世界に浸かって下さいませ!!

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プロフィール

花房雨

Author:花房雨
藤長聖子です。

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【藤長聖子のプロフィール】

≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

≪好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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