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【天水・完全版・下巻】 花輪和一

天水 下   KCデラックス天水 下 KCデラックス
(2003/02/21)
花輪 和一

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上巻の紹介文から読んで下さいね↓【天水・上巻】

さて下巻です。物語は佳境へと向かい、深みを増し続けて行きます。上巻も凄いですが、
この下巻に至っては、テーマも、親子の問題から、人類ひとり1人それぞれに抱えている問題まで。

幅広く掘り下げられてます。現代社会で生じているありとあらゆる問題。
その答えを考える道筋が描き示されているので、教育書や哲学書としても読める内容なのです!!。

上巻では河童さんの仙術に頼る事の多かった棗が、不思議な山の中での体験を通じ、

『これはもう他人からの借り物の考えではいつまでたってもわからない。
あたしの人生はあたしが決めるんだ!』思索する事により、自力でもののけを倒します。

下巻では成長が大きなテーマの1つ。

天狗からは、『だめな時は無理をせず楽にしておればよい。
大切な事はおまえがだめな人間だからではないという事じゃ』との言葉を授かります。

その後、ようやく再び棗は母親を探し当てるのですが、おっかさんは見るも無惨な有り様…。

一体何が起きていたのか!?棗は母との幸せを取り戻す為、
河童さんと力を合わせ最後の地獄巡りを奮闘します。運命や如何に。

連載が中途に終わってから8年後に描き始められ、更に1年の月日を掛け仕上げられた最終話。

完全版と呼ぶに相応しい、練り上げられたラストは
漫画史に残ると言っても過言ではないほどの完成品です。

上巻でも書きましたが、今昔物語や芥川龍之介の系列に属する説話文学としても傑作で、
日本に生まれた新たな神話だと思います。この世界に触れられて良かった!!

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【天水・上巻】 花輪和一

天水 上   KCデラックス天水 上 KCデラックス
(2003/01)
花輪 和一

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読書をする度に思う。本という物は、出会うタイミングで出会い、
その時々に必要な内容を読む事になっているのではなかろうか、と。

花輪和一さんの事、特にここ数年ずっと、気になっていた。
それ以前にも名前は知っていたが、『なんだか読むのは畏れ多い』的な印象があったのだ。

気になり始めたのは偶然、【映画・刑務所の中】を見てから。
ひたすらシンプルに、淡々と刑務所の中での生活が語られて行く。

余計な物を削ぎ落とした目線の持ち主が花輪さんだという事を知った。
残酷な描写多い、とか難解な作風だ、とかの評判だけ真に受けてたけど。

実際の所どうなのか、自分で読まなきゃ分からないんだろうな、と。ここから数年。
その間も、この天水の事を、よしもとばななさんが日記で絶讚していたり。

確実に呼び声は近づいて来ていた。

なので、今回BOOKOKAの市の中、【天水 花輪和一】の文字を目にした瞬間、
『来た!ついに花輪さんの作品に直接触れる機会が来た、手に取らなくては!!』震えた。

大袈裟だと思われるかもしれないが、正直それ程までに凄い本に出逢えたと感じるのだ。

中世の日本、平安の世を童女棗(なつめ)と河童が力を合わせ生き抜く様を描いた、
上下一対の物語。冒頭で、好物のウリを食べたくて棗の家に転がり込んできた河童。

この世の事はなんでも教えてくれるという河童仙人に会うのが夢。
頭の皿の中には天水と呼ばれる池の様な異空間が広がっていて、

もののけや鬼をやっつける時に、とても役に立つ。

最初は、仙人に会わせてやるからと悪いもののけに騙されたり、
うっかりで人間に捕まえられたり、間が抜けた所もある。けれど。

棗を守っている内に少しずつ仙術使いの頼れる存在に成長して行く。
棗は幼い頃母親と生き別れて、涙の再会を果たした後も、艱難辛苦が母娘を襲う。

子どもを守るため人柱にされそうになる母。
自分を捨てた母への怨みの念を消せず魔物に取り憑かれる棗。

親子関係や、人間の心に生じる、迷いや疑い、
淋しさや悲しみなどがクローズアップされ出してからは、ページを捲る手が止まらなった。

シリアスなだけでなく独特のユーモアも散りばめられている。懲らしめられた魔物が、
観音堂の中で悪さした事を恥じ、照れくさそうに田舎道を去って行く姿。

善と悪を一方的に切り離すのじゃなくて両方バランスよく受け入れる優しさを感じた。
目に見える物の先にある、物、者の気配。花輪さんの描きだす、もののけたち。

全体を通じ最終的には美しく温かい手触りがあった。上巻最後、不思議な山に
分け入ってからの世界は、新たな神話の誕生とも言える内容で下巻へと続きます。

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≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫

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作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

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