観葉植物
ジーナ(絵描き)とフウガ(詩人)の2人がラブ&シェアをテーマに日々の思いや考え・感動を書き綴っています。みなさまと一緒に楽しんでいけたらと思います!★当ブログ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載・複製を禁止します★
 【つむじ風食堂の夜】 吉田篤弘
2009年07月01日 (水) | 編集 |
つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)
(2005/11)
吉田 篤弘

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『あなたはまだ この面白い小説を知らない』。帯に自信満々の言葉!
これには心底ヤられちゃいました、青山ブックセンター六本木店の間室さん…。

全国の書店員さんが選んだ文庫本フェア。
最初に目が行き、速攻レジに、ええ、向かいました、ましたけど、何か!?読書開始。頁をめくります。

ほ、ほぅ…!。『その食堂の皿は本当に美しかった。』冒頭の一行から、そう来るんですね。
…予感が、この本は名作である、そんな予感がひしひし。

予感は的中、名作と言うよりも傑作!です、この作品。
『優れた物語は何時でも詩人の言葉で書かれている』そんな法則を打ち立てたい位、

文章や言葉に愛しさを覚えました。舞台の月舟町に出向いて、交わされる会話を、
言葉まるごと、拾い上げたい位に感じます…。「雨降りの先生」の愛称で呼ばれる主人公、私。

『そもそも都会の喧騒にうんざりし、それでも街を離れられず、
なんとかこの屋根裏の静寂を探し当てた』と言う辺り、何やら訳ありそうですね…。

でも、この人、『先生』と呼ばれるだけあって、不思議と、周囲の人たちに愛される存在です。
食堂に来てる人たちから、胡散臭げに思われてる帽子屋さんが

怪しげな名前と講釈を付けて売っていた、実に他愛もない装置を、唯1人買い求めたり。
したか、と思えば、本業のライターの仕事の為、

どうしても必要な【唐辛子千夜一夜奇譚】<空中一回転書房>なる本を手に入れたくて、
古本屋の『デ・ニーロの親方』の元を訪ね、(本当は親方の口から出任せな、嘘の値段なのに)

月舟町中を駆けずり回る始末で。どうにも憎めません。
先生に魅力を感じるのは、同じ月舟アパートメントに住んでいる、

舞台女優の奈々津さんも同じ様です…。仄かな恋心、
中を取り持つオレンジや手品の演出も粋なら、物語の最後、ササッと火を止める加減も粋で!!

読了後の余韻も、読み手の想像力を掻き立てるに充分過ぎる程。
次はあなたが、この面白い小説を体験してみませんか!?

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 【りかさん】 梨木香歩
2009年06月30日 (火) | 編集 |
りかさんりかさん
(1999/12)
梨木 香歩

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また新しく、未知なる世界の奥深さを教えてくれる本に出会えた!
そんな歓びの気持ちで、一息に読み通しました。

おばあちゃんから『今度のお雛祭りに、欲しいものはあるかい。』と言われたので、
『リカちゃん人形』をねだったようこ。でも、届けられたのは…。

真っ黒の髪の市松人形、『りかさん』。同じ人形でも、カタカナと、ひらがなじゃ大違いです。
当然、ようこは落ち込みます。けれど、『りかさん』には、

大切に大切に扱われたお人形さんじゃないと持てない、
『祈る力』が備わっていたのです!おかげで、すっかり打ち解けあったようこと、

『りかさん』は、名コンビになり、人形たちにとってのハレの舞台であるはずの時期に起きる、
様々な人形模様を知っていきます。ここら辺の描き方が実に素晴らしく、

お雛様や人形文化のしきたりがわかって面白かったです。
おばあちゃんの存在感や、『人形のほんとうの使命は生きている人間の強すぎる気持ちを

とんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露にかえすようにね。』という
含蓄のある言葉にも教えられました。人間が犯してしまう愚かしい行い、

そこから生じる因果についても読書中、
自分なりに自問自答出来たのも貴重な時間になったって思います。

僅か二百ページ余りの分量の中に大切な物が沢山散りばめられた物語です、
是非手に取ってみて下さいね!!

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 【つめたいよるに】 江國香織
2009年06月29日 (月) | 編集 |
つめたいよるに (新潮文庫)つめたいよるに (新潮文庫)
(1996/05)
江國 香織

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江國さんは、いつもなにもなかったような振りして凄いことを言う。
しんとしたなかにも心が優しいと分かる文体で、

さらさらと透明に透明に透明すぎる水をざわっと、浴びている様な気分だ。
綺麗な人だな、そう思う。何気ない日常に、すぱっと生と死を書いているのに、

超越してるとかそんな風には感じさせない。
そういうことを、もうすでに受け入れている感じがするのだ。

そして、物語の最後にいつも一気にアクセルを踏んで物語を動かし飛ばしてくれるのだ。
その読了後、ふわふわと空中を飛ぶような良い気分になる、大好きだ。

優しさの根源を見ているようで、誰かに優しくしたいと思わせる力もある。
そんな小説はあまり見当たらない、と思う。

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 【日本語ぽこりぽこり】 アーサー・ビナード
2009年06月28日 (日) | 編集 |
日本語ぽこりぽこり日本語ぽこりぽこり
(2005/02/28)
アーサー・ビナード

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詩人アーサー・ビナードさんは、言語とコミュニケーションの達人である。
20才の頃、ミラノに渡りイタリア語を習得。更に22才、インドのマドラスでタミル語の勉強に没頭。

日本語とは、卒論の際に出会い、魅惑され、1990年、23才で来日。
日本語で詩作、翻訳を始める。2001年には詩集『釣り上げては』で中原中也賞を受賞。

今作品も、2005年講談社エッセー賞を受賞している。
この本、面白いのは勿論、読み進める内にアーサーさん(愛情を込めて、そう呼ばせて頂きたい。)

の持っている、独特な視点の、シニカルさ、コミカルさの匙加減が絶妙なのに
強く惹かれる様になりました。特に芭蕉の句、『閑かさや岩にしみいる蝉の声』の閑さを、

『how silent!』と、かなり強引に英訳したJRのポスターに、1人批評を挑み、
挙げ句に張り合って(頼まれてもいないのに)自分も英訳をしてのける…。お茶目な人だなぁ…。

そのお茶目さは、他にも、習字教室仲間の小学生から『ちくる』とか、
『二度書き』といった言葉を教えてもらうのに発揮されたり、浅草に存在する、

身体の《珍しい》部位に装着する、かつらの会社へ取材に行くアポを取り付けるのに成功したり!
日々の暮らしを英語と日本語、両方で見て聞いて、考えて行動するアーサーさん。

根底に人種や文化を超えた人間への愛を持った人です。
詩作や、絵本の翻訳など、これからの活動の展望も語られているので、

この一冊を読み終わる頃には、きっと、あなたも、アーサーさんに注目したくなると思いますよ!!

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 【真鶴】 川上弘美
2009年06月27日 (土) | 編集 |
真鶴真鶴
(2006/10)
川上 弘美

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真鶴。この世とあの世。そして、実在と不在について、深く考えさせられる小説でした。
主人公、柳下京(やなぎもとけい)は十二年前、突然、夫である礼に蒸発された過去を持つ女性。

現在は、自分の母と、娘百(もも)との女三人暮らし。仕事の縁で知り合った恋人青茲は、
妻も子もいる編集者。今や付き合いは、夫と過ごした時間よりも長いほど。

更に、誰にも口外してないけれど京は、自分に、ついて(憑いて?)くるものを
自然に感じ取る体質らしい。そんな京がある日、東京駅で人とあった後、

何故だか中央線ではなく、東海道線に足が向いて仕舞い、降りた駅が、真鶴だった、という訳だ。
この真鶴でも女が京についてくる。どんな訳だか、ついてくるものを感知する時、

京自身の内面で記憶が揺り戻されたり、現実の外の世界が『にじんだり』するのが印象的だった。
それにしても、著者である川上さんの文章の冴えには、毎回圧倒される。

今回も反抗期の百に手を焼きながらも、娘が成長し、自分の手を離れてしまう事へのジレンマが、
実に巧みに浮き彫りにされていて、唸らされた。

内面を描く時の圧倒的なリアリティーがあるからこそ、スーッと、
異形の物がついてくる世界に移行されても、違和感なく安心して読めるのだと思う。

真鶴に果たして何が存在したのか、は実際に、皆さんに読んでもらうとして、生きるとは何か、
存在する物と、嘗てそこに存在した物を、繋ぐのが出来るのは、果たして誰の役割なのか、など。

良い意味で、自分なりに、人間の生について考えさせられました。
京の恋人の『あなたといると安眠するような感じ、眠くなる』という言葉も、

この強すぎないけれど、しっかりした質感を象徴するようで好印象を持ちました。
読書の時間をゆっくり、じっくり楽しんで下さいませ!!

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