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【やっぱし板谷バカ三代】 ゲッツ板谷

やっぱし板谷バカ三代やっぱし板谷バカ三代
(2009/02/28)
ゲッツ 板谷

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来客には必ず、牛乳のサイダー割り、その名も【サイ牛】をふるまう初代バカ、婆さん。
本質的に真面目な性格である反面、超が付く程の体力自慢かつ、お調子者で、

庭の雑草をバーナーで焼いていた火を母屋に飛び火させ、家を丸々一軒、
全焼させた二代目バカこと、板谷家の大黒柱でもあるケンちゃん。

高校入試でラビットの訳をウズラ?と書き入試を失敗し、仕事に関しても、ある日突然、
『今乗ってる会社のトラックの色が青じゃないから嫌だ』と言う、単純明解な理由で、

辞めて来ちゃったりするのがバカの核弾頭、そして筆者ゲッツ板谷氏の弟でもある、
三代目バカことセージ。このバカの大三角形が巻き起こす、突き抜けまくりの、

バカなエピソードにそれぞれの友人や親戚をも含め、日常を逸脱しまくった笑いに、
腹の皮が捩れ、涙が止まらなくなる程笑わせてくれた、前作、【板谷バカ三代】!!

あれからの板谷家の様子が知りたい!と続きを望む声が多かったのに、
中々発表されなかった続編が本書である。それはやはり、理由の1つとして、

実在する板谷家の人間をネタとして、内輪の恥を暴露するのは如何なものか!?
との声もあったからであるらしい。が、しかし、今作に於いて、

発表が先延ばしにされた最大の理由はと考えると、前作と異なる、
様々な身内の不幸事が板谷家の面々を襲うシリアスな場面も、

多分に描かざるを得なかった点にある様に思われる。勿論、タイトルからして、
【やっぱし】とあるように、何時【バカ】な逸話を繰り出すか、予測不能なのが、

板谷家ならではの馬鹿力なのだけれども…。弟の急な訃報を聞き、逆上し、
『取り敢えず弟の家に行かねば!』出発したケンちゃん。

しかし、肝心の弟の家が、半年前、近所に引っ越していたのを忘れていた為、
周辺をグルグル歩き回った物の、遂に遺体とは会えずに、スゴスゴ帰ってくる始末。

弟のセージも遺品の中に、自分たち兄弟が幼い頃、
多摩川河川敷でおじさんから遊んでもらっていた思い出の写真を発見するや否や、

死体を棺桶から引きずりだし、トラックに乗せたまでは良いものの、
一旦降りた河川敷の坂を上る事が出来ず、深夜に警察を呼ばれたりしてるし…。

そう彼らは、バカが付く程純情な人達なのです!(行き過ぎちゃうけど)
故に、家族愛や結束も並外れて強く、特に、中盤辺りで、婆さんが倒れた時に、

それまで裏から、このヤンチャな一家を支えて来て、そんな自分も今、癌の床に臥せっているのが、
悔しくて堪らない、オフクロさん。そんなオフクロさんの癌治療の少しでも励みになればと、

必死に書き続けてる最中に、自身も、脳出血で倒れてしまうゲッツさん。
ここからオフクロさんが取った執念の行動は凄まじい!の一言に尽きます。

脳出血の薄れた意識の中で、ゲッツさんは、毎日誰かが、自分の足を酢でマッサージし続け、
意識の回復を図ろうとしていたのを憶えていると言ってます。正に母は強し!ですね。

息子が意識を回復したのを見届けてから、静かに息を引き取る母。
後書きでゲッツさんは、『今回の本は、オレがオフクロの死を乗り越えるために書いたのだ。』と

言い切っています。だからこそ、文字通り板谷家の家族の記録として、思いっ切り笑えて、
ホロリと泣ける名作に仕上がっているのだと思います。

作家よしもとばななさんとのエピソードも、胸にズシッと来る、素敵な逸話でオススメです!

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【どこかで誰かが見ていてくれる】 福本清三

どこかで誰かが見ていてくれる―日本一の斬られ役 福本清三 (集英社文庫)どこかで誰かが見ていてくれる―日本一の斬られ役 福本清三 (集英社文庫)
(2003/12)
福本 清三小田 豊二

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四百人からの大部屋俳優が在籍した東映映画の全盛期。
誰もが明日のスターを夢見ては鎬を削っていた時代に、他人の出世には、

目もくれず、ただ唯、田舎育ちで、世間知らずな自分が、
俳優なんかで居られることに感謝しつつ、日々を渡り切って来た男・福本清三。

無私・無欲・無名、と三拍子揃った福本さんの『役者バカ一代記』と呼ぶのがピッタリな本書。
聞き語りと言う形式の中で、自身の、裏方人生を、

ぼそぼそと話して行く時の余りに謙虚で腰の低い姿に学ばされる思いがしました。
自分は、大部屋俳優とは言っても、他の仲間のように、是が非でも俳優になって、

スターさんの仲間入りをしてやるんだ!等の明確な出発点を持たないし、付け届け等の、
世渡りが出来る様な、裕福な家庭に育った訳でもない。

けれども、『雑兵で傷だらけになっても平気な顔をしていたり、
忍者になって誰よりも先に駆け降りて失敗したり、暴れ馬に蹴られたかの如く

すっ飛んだりしているうちに、助監督たちに、だんだん「あいつは、なかなかおもしろいヤツだ」って
思われるようになってきたから不思議ですね。』と半ば照れ臭そうに述懐する福本さん。

必死にやる、だけれども、無欲で無我夢中になってやり切る!
これって、誰もが簡単に成し遂げられることではありませんよね!?。

それをサラリとやってのけ、更に、大部屋俳優の知恵として、
「自分の名前を売り込もうとしない。相手から聞かれるようになれ。」と断言出来るフクさん

(福本さんの通り名)。カッコいい人だなぁ……。こんなさりげなくカッコいい人ですから、
やっぱり何かしら周囲も放っては置けないんでしょうね。

新時代の殺陣用にとスタントマンの走りとしても駆り出されていて!!。
必要とされたら何でもやるし、仕事をとにかく楽しんで、工夫してやる!。

頭の下がる思いがします。本業(?)の斬られ役に関しても、自分に稽古を付けてくれた先輩に、
「斬り方はだいたいわかったんですが、斬られ方を教えて下さい」と聞いてしまった…。

すると、その先輩「あのな、フク。剣術にも居合術にも、斬り方はあっても斬られ方はないんや。
あくまで人を斬ることが目的やから、斬られる稽古があるわけないやろ。

お前だけの斬られ方があってええってことや」 と優しく諭してくれます。こんな風に、
出会う人にも恵まれ、以来、斬られ続けて幾星霜。

遂に『二万回斬られた男』の異名を持つ迄になるのですから、人間の運命って不思議です。
リハーサルと本番では気迫も形相も段違いだったというのが、

御大・市川歌右衛門さん演じる『旗本退屈男』負けず劣らず凄まじいのが、
大友柳太朗さん演じる『丹下左膳』。本番が始まると、血が煮えたぎるのか、

何もかも忘れて、遮二無二刀を振り回す始末…。本当に、顔の前を刀が通り過ぎ、間一髪、
命拾いしたり。スターの側も、斬られ役の側も、『如何に太刀回りを素晴らしい物にするか』に賭け、

息を合わせて行くのに、意気込みや粋な心を感じました。
しかし、活況を呈していた時代劇及び日本映画も、やがて娯楽の主役の座を、

テレビに奪われてしまいます。その頃から、映画界も大きく様変りを始め、
東映は時代劇制作から手を引き、ヤクザ映画専門の会社へと変貌を遂げます。

その間も、大部屋俳優フクさんは、ブッチャーと戦わせられたり、ガッツ石松さんに殴られたり、
と過酷な撮影が続く一方で、日本ヤクザ映画の金字塔『仁義なき戦い』の深作欣二監督には、

初対面となる撮影時までに、顔と名前、殴られ方、倒れ方、死に方の癖に至るまで
全部をチェックされていたそうです。まさしく、この本のタイトル通り、

『どこかで誰かが見ていてくれる』ですね!
(深作監督との逸話は、本当に胸にグッと位素敵なので、

実際にその箇所を読まれる事をオススメ致します)定年まで四十年、
大部屋俳優一筋に励んだ人、フクさんが定年間際、

最後に、ハリウッド映画『ラスト・サムライ』に出演が叶ったのも、
ひたすら無私無欲の日々を貫いた者への、ご褒美の様に思えてなりません。

福本さんの生き方からは学ぶ所、大!、大オススメ致します。

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【ブエノスアイレス午前零時】 藤沢周

ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫―文芸コレクション)ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫―文芸コレクション)
(1999/10)
藤沢 周

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『藤沢周平』でなく、『藤沢周』なのである。嘗て、中上健次がそうであった如く、
この作家も又、純文学の極北に立つ作家の1人である。

世界と世界の間にあるザラザラの皮膜を丹念に掻き集めては、
物語を紡ぐタイプの、凄みが感じられる。芥川賞を授賞した今作でも、表題からして、

アルゼンチン・タンゴの神様、故アストル・ピアソラの曲名が使われているのだ。
表題と内容とが、絶妙に引き寄せあっているように感じられるではないか!?。

舞台となるのは、山麓の温泉地よりも、更に外れた所に在る、
ホテルとは名ばかりの温泉旅館『みのや』。唯一の売りは、コンベンションホール。

社交ダンスを踊る老若男女の団体が大挙してやって来る。
が、その実、自慢のホールも、月に最低二回は団体客が入ってくれない事には、

即座に、立ち行かなくなってしまう。主人公のカザマは、
冬場は雪が三メートルも降る山奥のホテルで、毎朝、温泉卵を源泉で作り、

二個ずつ食べているUターンの男。屈折し、ブレた自分の日常を、
ただ淡々と受け入れているかの様に。そんな単調なリズムを刻みながら暮らすカザマの前に、

突如現れたのが、盲目の老嬢、ミツコ。カザマの事を温泉卵のいい匂いがする人、
と言って微笑む彼女は、現在自分が何処で何をしているかの認識すら出来ず、

記憶は主に、世間から後ろ指を指されるような仕事をしていた五〇年も
昔の自分への懺悔の念に回帰して行く。ただ、彼女が懺悔をするのは、世間にではなく、

彼女の前を過ぎ去った男たち。それも、地球の裏側、
アルジェンティーナのボルテーニョと呼ばれる人たち。老嬢ミツコの、

半世紀越しで保ち続けている浪漫の香りに惹かれ、
何とかして再び彼女を踊らせたいと奔走するカザマの、

終始、居心地の悪そうな胸の内の独白が良い。世間の真芯からは、
大いにブレた地平で、二人たどたどしく踊るアルゼンチン・タンゴ。

闇の色は真っ暗な黒ではなく、濃い青色。武骨だけれど、
美しいタッチで世界を描いた小説です!

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【Say Hello!あのこによろしく】 イワサキユキオ

Say Hello! あのこによろしく。 (ほぼ日ブックス)Say Hello! あのこによろしく。 (ほぼ日ブックス)
(2004/12/10)
イワサキユキオ

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ほぼ日ブックス刊の、フォト・エッセイ『Say Hello!あのこによろしく』を読みました。
著者であるイワサキユキオさんの家の愛犬、ジャック・ラッセル・テリアのルーシーの元に、

産まれてきた、ニコ、サンコ、ヨンコの3姉妹。
産まれ立てで、まだ眼が開かない時から3匹は何時だって一緒です。

力を合わせて、ルーシー母さんのオッパイに夢中で吸い付いて行く時のチームワークの良さ、
生命力の原点の様な物があるなぁ、と感動を覚えました。

何しろ、著者の手掛けた写真が、3匹の成長する一瞬、一瞬に愛情込めて撮影されているので、
読んでる、こちら側にも、家族や親戚との様々な思い出の場面にまで、

記憶を呼び覚ませてくれる、それが、中々悪くない心持ちなんですよね!。

そんな3姉妹も、やがて目が開き、爪や歯が生え3者3様個性が芽生えます。
ニコは、姉妹一、やんちゃで甘えん坊。サンコは、姉妹のリーダー役、明るくて優しくて、

少しさみしがりや。末っ子ヨンコは、おっとり屋さんで、普段は物静か。
でも、いざとなると、お姉ちゃん達に果敢に食い付いて行く、芯の強い娘。

日々、愛を浴びてスクスクと育ち、生後1ヶ月が過ぎ、生後2ヶ月目を迎え、
揃って寝ていた小さなベッドでは、もう意味を為さない位に3姉妹が成長した時、

家族に旅立ちと別れの季節が訪れます。このラスト辺りの写真と言葉には、真に、
イワサキさんと犬たちとの家族の絆が感じられ、じーんとするのと同時に、

何時も当たり前の様に感じていた『ペットと一緒に暮らせる』時間を、
もっと大切にして行きたい!!と思いました。家族にとって大切な事にも触れてある、

読み心地の良い本なので、ぜひ一度、その質感に触れられてみてくださいね!

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Author:ジーナフウガ
ジーナ(絵描き)とフウガ(詩人)の夫婦2人です。イラスト・詩・書評・映画や音楽・猫の事など感動したことを書き綴っています。コメント頂けると嬉しいです。(過去日記にもお気軽にどうぞ♪)

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≪本名・藤長聖子(旧姓)≫≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫≪ジーナの名前の由来・ふじながのじなを取ってジーナ≫≪なかはらとまと、と言う筆名でも書いてます≫

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作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

【フウガのプロフィール】

≪本名・古庄弓津規(ゆつき)≫≪A型・魚座≫≪1972・3・8生まれ・36歳≫≪神奈川県生まれ≫≪フウガの名前の由来・ふじながのふがを取ってみたところ、語感があんまり!だったのでうを付けて語感の良いフウガにしました。≫≪榎風雅の筆名でも書いてます≫

≪フウガの好きな人たち↓≫

作家:中島らも・池波正太郎・浅田次郎・小路幸也・高橋源一郎・川上弘美・森絵都 文学者:石川啄木・種田山頭火・住宅顕信・井伏鱒二・山之口獏 アーティスト:岡本太郎・ヴィンセント・ファン・ゴッホ クリエーター:糸井重里・茂木健一郎・佐藤雅彦 音楽:仲井戸麗市・泉谷しげる・SION・中島みゆき 落語:柳家小三冶・笑福亭鶴瓶 詩人:中原中也

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