<<04  2012,05/ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  06>>
                              祝☆10万アクセス突破致しました!ありがとうございます。
【平台がおまちかね】 大崎梢
平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
(2008/06)
大崎 梢

商品詳細を見る


この単行本、装丁からして洒落ている。平台がおまちかね、と書かれたポップ、
山積みにされた書籍の帯には『編集以外の出版社の仕事、知っていますか?』これには強く興味を惹かれた。

中堅出版社・明林書房の新人営業部員の井辻くんが、出版業界で働く日常の中で起きる、
様々な謎めいた出来事に、体当たりで挑む。その様子を描いた短編が五つ収録されている。

各話は緩やかに連なっていて、ミステリ部分は勿論、謎とされる出来事を解決する内に主人公が
成長していくのが分かるのが良いと感じた。更に、彼の普通でない、本との接し方の描写が非常に面白い!

曰く、『一冊の本が気に入ると、その世界にのめりこんでしまうんですよ』だそうだ。
のめり込みかたも尋常でない。『心ゆくまで物語世界に浸り、再読し、絵を描き、

舞台となる建物の図面を起こし、ジオラマまで作ってしまいます』更に、
彼は耽溺する本を『魂本』と読んでいるそうで…。本好きならば、誰でも程度や深度の違いこそあれ、

自分なりの『魂本』に行き着こうとするものではないか、そう思うだけに、
井辻くんの本との向き合う姿勢には見習いたい点が多かった。

特に『絵本の神さま』という作品に込められた人間の運命の不思議を優しく描き出している点に惹かれると共に、
感動して泣きそうに…。地域の皆に愛されていた小さな書店が突然の閉店を決めた際に、

実は隠されたエピソードがあってという話なのだが、『そうだよなあ、人間の運命に好不調はあっても、
捨てたもんじゃない、満更人生も。』と胸に沁みた。他にも、若手の井辻くんを『ひつじくん』と

呼ぶ他社の営業真柴を初めとした、個性的過ぎる、出版社営業マンたちの付かず離れずな距離感が
ユーモアたっぷりに描かれていたり、筆者の別作品の登場人物がチラリと顔を覗かせたりと、

巧妙な仕掛けが至る所に潜んでいて、終始飽きることなく楽しませてもらった。
このシリーズ、続編も是非とも読もうと思う。読むと元気になれる素晴らしい本です!!

◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ読んで気に入って下さったら応援宜しくお願い致します!励みにして書き続けます。

【SNS 本カフェについて】親愛なる皆様へ
「本カフェ」は、本好きさんが集まるSNS
↑ご希望の方は『新規登録はこちら』をクリックし会員登録を行なって下さい。

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

【いねむり先生】 伊集院静
いねむり先生いねむり先生
(2011/04/05)
伊集院 静

商品詳細を見る


これは伊集院静氏が自己を再生するまでの様子を克明に描いた私小説と読むことも可能だし、
『いねむり先生』こと作家阿佐田哲也=色川武大氏について描いた伝奇小説とも取れる。

どちらにせよ非常に慈愛に満ち満ちた作品である。最愛の妻、夏目雅子さんを癌によって亡くした筆者。
心身ともズタボロに成り果て重度のアルコール依存症と、ギャンブル漬けの日々を送るのみだ。

主人公サブロー青年の実感でも『どう考えてもボクは人間として失格者だった。』となってしまっている。
全国各地に賭場を求め、根なし草の如く転々墜ちるばかり。そんな彼を見兼ねて先輩Kさんから、

『是非逢わせたい人がいるから、上京しないか?』の誘い。それを契機に【ギャンブルの神様】等々、
数多くの異名で呼ばれていた先生と、サブロー青年の不思議な付き合いが始まった。

先生が兎に角チャーミングな人物として描かれているのが強く印象に残る。裏路地を歩いていて、
突然ポン引きの男が親しげに話し掛けて来る。何やら話し込んだ後、先生は男に幾ばくかの金を渡すのだった。

Kさんが先生に問い質すと、昔の知り合いの名前を言ってたから…との事。一事が万事この調子、
あらゆる人間を丸のまま受け止め、受け入れるだけの器の大きさを有した傑物なのだ。

だが、その優しさの裏側には、想像を絶する精神の難病を患いつつも、
闘病を挑んだ先生の激烈な生きざまがあったと思う。先生はサブロー青年の中にも

同じ病気が巣喰っているのが分かっていたようだ。だからこそ、
連れ立っての『旅打ち』ギャンブル旅行の最中、青年に盛んに小説の話を仕向けたのだろう。

ちょっと引用したいと思う。『こんなふうに言うと、君は気を悪くするかもしれないけど、
私には君の小説のよさがよくわかります』『私はただサブロー君が小説を書いてくれたらいいと思ってることを言いたかっただけなんです』

ラスト付近で幻覚発作に襲われもがいていた筆者に手を差し伸べ、
『大丈夫』引っ張り上げてくれた先生の力で、その後、発作からサヨナラ出来たサブロー君。

文学者から文学者への、魂のバトンの継承を読ませてもらって、温かさに感動しました!
貴重な読書体験を持ててうれしいです!!


◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ読んで気に入って下さったら応援宜しくお願い致します!励みにして書き続けます。

【SNS 本カフェについて】親愛なる皆様へ
「本カフェ」は、本好きさんが集まるSNS
↑ご希望の方は『新規登録はこちら』をクリックし会員登録を行なって下さい。

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

【夜の神話】 たつみや章
夜の神話夜の神話
(1993/07/26)
たつみや 章

商品詳細を見る


作者、たつみや章さんの、『これが伝えたいんだ!』という熱い思いが、物語の全編にみなぎっていたので、
大変興味深く楽しんだ。典型的な都会のマセガキな主人公のマサミチが六年生という設定が、

この物語にちょうどよいなと思った。悪いことをすると罰が当たる。そんな理由が息づいている世界観。
マサミチに、巧妙に饅頭を食べさせた、ツクヨミのお方さまを筆頭として。

家神といわれる、ヨネハラさんや、月うさぎなど。登場してくるキャラの描かれ具合が親しみやすくて
興味を惹かれた。闇鬼(あんき)という概念には思うところあり。自己中心で他を思いやる気持ちをもたない者。

欲が深く、自分の欲を満たすことだけしか考えられない心の事。ムー大陸の人々は闇鬼で滅んだ。
それにしても、たつみやさんって、子どもの中にある様々な要素、ワガママなだけか、

と思えば魂に純粋無垢な聖域を保っていたりする点、などなどを巧みに描き分けるよなあ、凄い!
そこら辺があるから、マサミチが神々の世界の存在、自然界の理を、素直に吸収できるようになるのに

違和感を覚えないんだと思う。たつみやさんの作品の中で繰り返し述べられる世界観。
「鳥も獣も虫も魚も。木や草たちだって、ちゃんと言葉をもっています。魂をもってるんですからね」にも

共感する所、大だった。そんな中で、マサミチは、パパの同僚でもある大好きな、
「スイッチョさん」の身体が、青い炎に包まれているのに気付く。ヨネハラさんを揺り起こして問うと、

「あれは、病ではあるが病ではない。おそらくは、人が作りだした毒のしわざでしょう」と告白される。
毒の正体はパパが勤めてる原子力発電所の放射能だった。スイッチョさんは自ら、故障した弁を閉めるために、

ふだんは立ち入り禁止の危険区域に入った。それで大量の放射能をふくんだ蒸気を浴びてしまった。
スイッチョさんは、もしかすると死んじゃうかもしれないんだぞ!だったら……

ぼくがどうにかしなくちゃいくないんじゃないのか?
スイッチョさんをたすけられるかもしれないツクヨミさまに、

たすけてくださいっていいにいけるのはぼくだけで……。命懸けの思いで動き出した所に、
ヨネハラさんに連れられスイッチョさんが現れる。いよいよ、原子力発電所の原子炉が壊れようとしてる……。

印象的だった言葉がマサミチのパパが所長と電話でのやり取りをした後の絶叫

『会社にたかだか二、三十億円の損をさせる決断ができんのだ、所長は!もしこれが重大事故になっちまったら、
損害は金の問題なんかじゃなくなるっていうのに!』この小説は実に20年近く前から、
原発の事故が地球環境や人間に与える甚大な被害を予想し警鐘を鳴らしていたことになる。

そして最終的に脱・原発に向かい代替エネルギーを提案している点が、
今後人類が進むべき道を照らしているのが、大変素晴らしく、単なる絵空事でない物語の現実への

踏み込みかたに拍手を贈りたいと感じた。原子力の問題がクローズアップされている今だからこそ
読んで欲しい傑作です!!


◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ読んで気に入って下さったら応援宜しくお願い致します!励みにして書き続けます。

【SNS 本カフェについて】親愛なる皆様へ
「本カフェ」は、本好きさんが集まるSNS
↑ご希望の方は『新規登録はこちら』をクリックし会員登録を行なって下さい。

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

【道徳という名の少年】 桜庭一樹
道徳という名の少年道徳という名の少年
(2010/05/11)
桜庭 一樹

商品詳細を見る


熱烈に好きな作家桜庭一樹さんの2010年度作品。
1作品、20ページ程度の連作短編5つから成立する、合計でも120ページ余りの作品集。

だけれども、この濃密極まりない世界観といったら何だろう!?まずコトの始まりからして濃密だ。
【1、2、3、悠久】町で一番の美女が父親不明の女児を産み落とす。その女児は、1と名付けられた。

町の人々は、父親の面影を女児に見出だそうとするが、母親に生き写しの女児からは、何の推測も出来ない。
恐る恐る、美女に父親を尋ねるが、『死んだわ!』と呟かれるだけで、

人々は最近の内に死去した亡者探しに奔走するのだが。一番手近な葬式は善人だった
町長が百歳で大往生を遂げたのみ。彼が果たして不道徳な営みに関わったか?

町中で、なにかの間違いだろうと言い聞かせている間にも再び美女は女児を授かる。
2と命名された赤子へも、インディオの召使から父について聞かれるが、美女は黒い巻き毛を揺らして

『あんまり若くて、言えないわ!』言い放つのみ。今度は町の学校が恐慌状態となる。
罪深い不道徳な少年を探して噂が駆けめぐった。だが。町民たちの疑心暗鬼の念など関係なく、

美女はまた腹を膨らませ、女児3を産み落とし、やはり、この児も母親瓜二つだった。
此処まで至ると、最早誰も、父親について聞いてくれとは頼まなかった。

秩序が壊れ始めていたから。倫理観などとは別次元に生きた美女は懲りずに末娘を産み、
こんどは、悠久と名付けた。挙げ句、美女は娘たちを棄てて、旅の商人と手を取り合って町から消えた。

なんとドラマチックな展開を思い付くのだろう!?冒頭に過ぎないページ数を読むだけで幾度となく嘆息した。
そんな気持ちも束の間。襲いかかる様に次なる衝撃的筋書きが!!

悠久が母親と同じ因果な原因(父親違いの弟との間に授かった)を背負い、
薔薇の如く美しい男の児を出産したのだ。彼女が、姉たちと4人して血縁に抗うべき名前として選んだのが、

『道徳・ジャングリン』シニカルな描写だなあ、と興奮しつつ次の章へ、次の章へと、
ページを捲ったのだった。数奇なる運命に生きるジャングリンの名前とは正反対の、不道徳な、

薔薇のような日々の描かれ方には、上質な海外文学を読んでいる様な極上の読書時間を、体験させてもらった。
印象的な言葉として『孤独な人間というものは、得てして、道徳を軽視するものだ』という一文が

深く胸に刻まれた。桜庭さんの大傑作【赤朽葉家の伝説】とも違う味わいの、
一族の物語を是非、御堪能下さいませ!!あ、それ物語に迫力を増加させてる挿画も素晴らしいですよ!

◎過去書評にも気軽にコメント下さいませ。一冊の本について話が交わせる事を嬉しく思います◎

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ読んで気に入って下さったら応援宜しくお願い致します!励みにして書き続けます。

【SNS 本カフェについて】親愛なる皆様へ
「本カフェ」は、本好きさんが集まるSNS
↑ご希望の方は『新規登録はこちら』をクリックし会員登録を行なって下さい。

テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

本好きさんが集まるSNS!
「本カフェ」お気軽にご参加下さいね!★↓クリックしてお入りください★
本カフェメルマガ
メルマガ購読・解除
 
BK1書評の鉄人になりました!
☆検索☆
ポストカードご用意してます♪
HEARTGRAFFITIのすべて
ジーナフウガのプロフィール

ジーナフウガ

Author:ジーナフウガ
ジーナ(絵描き)とフウガ(詩人)の夫婦2人です。イラスト・詩・書評・映画や音楽・猫の事など感動したことを書き綴っています。コメント頂けると嬉しいです。(過去日記にもお気軽にどうぞ♪)

皆様、お友達になって下さいね。お声かけてくれたら嬉しいです。

初めてこのブログを読まれる方は、こちらから読まれてくださいね。

【ラブ&シェアについて】親愛なる皆様へ

【SNS 本カフェについて】親愛なる皆様へ


【ジーナのプロフィール】

≪本名・藤長聖子(旧姓)≫≪O型・おひつじ座≫≪1979・3・26生まれ≫≪持病・バセドウ氏病≫≪ジーナの名前の由来・ふじながのじなを取ってジーナ≫≪なかはらとまと、と言う筆名でも書いてます≫

≪ジーナの好きな人たち↓≫

作家:よしもとばなな・吉本隆明・田口ランディ・西原理恵子・角田光代・山崎ナオコーラ 音楽:THE BLUE HEARTS・大貫妙子・松任谷由実・池田綾子・S.E.N.S 画家:デナリ・ダリ・シャガール・バスキア 映画:アマデウス・サイダーハウス・ルール・ハリーとトント・めがね・ビリー・ワイルダー 落語:立川談春

【フウガのプロフィール】

≪本名・古庄弓津規(ゆつき)≫≪A型・魚座≫≪1972・3・8生まれ・36歳≫≪神奈川県生まれ≫≪フウガの名前の由来・ふじながのふがを取ってみたところ、語感があんまり!だったのでうを付けて語感の良いフウガにしました。≫≪榎風雅の筆名でも書いてます≫

≪フウガの好きな人たち↓≫

作家:中島らも・池波正太郎・浅田次郎・小路幸也・高橋源一郎・川上弘美・森絵都 文学者:石川啄木・種田山頭火・住宅顕信・井伏鱒二・山之口獏 アーティスト:岡本太郎・ヴィンセント・ファン・ゴッホ クリエーター:糸井重里・茂木健一郎・佐藤雅彦 音楽:仲井戸麗市・泉谷しげる・SION・中島みゆき 落語:柳家小三冶・笑福亭鶴瓶 詩人:中原中也

福岡県在住・紅茶と猫と読書・イラスト描くこと・文章・詩を書くのが好きです☆

◎このブログ・私たちは著作権を放棄しておりません◎

イラスト等を使用されたい場合はメールにてご連絡下さいませ♪

love_heartgraffiti★yahoo.co.jp ★を@に変えてご連絡下さい。

※あきらかに当ブログと関係のないと思われるコメント・TBや『これはひどいなぁ』と行き過ぎを感じさせるコメント・TBは削除させて頂く場合があります。ご了承下さいませ。

ジーナフウガの一冊入魂レビュー
メールお待ちしています☆

名前:
メール:
件名:
本文:

月の満ち欠け
イラスト 書評 読書 音楽 映画